Digital Performer 11(DP11)の新機能とポイント – ARA 2 のサポート & Melodyne搭載

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2021年07月にリリースされたMOTU「Digital Performer 11」は、近代のDAWに搭載される機能と比較すると、あまり書くことがないアップデートでしたが、2022年07年にリリースされたバージョン 11.2では、待望のARA 2 のサポートが追加されました。

ARA 2 やオーディオからMIDIへの変換機能など搭載されたマイナーアップデートのバージョン 11.2までをみると、前バージョン「Digital Performer 10」からの大幅のアップデートとなりますので、バージョン 11.2も踏まえて「Digital Performer 11」の新機能を紹介します。

まともにDPのリストイベントなどを音楽制作で使ったこともないレビュアーとは違い、音楽制作の現場で使っている人間の視点で書いていますので、導入を考えている人の参考になると思います。

DP11.2の主な新機能

ARA 2 のサポート & Melodyne Essential

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他のDAWに比べると搭載が、かなり遅いですが、ARA 2 のサポートがバージョン 11.2で追加されました。Celemony「Melodyne 5 Essential」も「Digital Performer 11」に搭載されました。

Digital Performerには、ピッチ補正ができる PureDSPを搭載していましたし、サードパーティー製にも、さまざまなピッチ補正ソフトがありますが、作業効率の面で、ARAでDAWと連携した「Melodyne」に勝るソフトはないというのが、個人的にたどりついた考えです。

Auto-Tuneなども、昔は使っていましたが、オーディオデータを、ほぼMIDIと同様に扱える編集の快適さが抜群の「Melodyne」にピッチ補正に関しては移行しています。

DPに付属しているのは、簡単なピッチ補正向きのエントリーバージョンのMelodyneですが、マルチトラック編集の可能な上位版の「Melodyne studio」ならハモりを作るときなどの作業が非常に楽になります。

大した機能も搭載されない定期的なDAWやプラグイン・エフェクトのアップデートに費用をつぎ込むのであれば、Melodyneを最上位版へアップグレードすることをオススメします。

オーディオからMIDIへの変換

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オーディオをMIDIデータにする「Copy Audio to MIDI機能」で、ピッチ情報のあるオーディオや、ドラムループをMIDIデータに変換することができます。

ボーカル、ベース、管楽器、などのモノフォニック・オーディオだけでなく「Digital Performer 11」は、ポリフォニック・オーディオもMIDIデータへコンバートできます。

上記左から2番目のグリーンの画像は、PureDSP コンバージョンを使用して、モノフォニック・オーディオを変換した画像で、左から3番目のパープルの画像は、Melodyne でポリフォニックのソース素材を変換した画像となります。

「Melodyne」などには、元々搭載されていたオーディオからMIDIデータへする機能ですが、複雑なフレーズの和音の書き出しの精度に関しては、過剰な期待は持たないほうがよいというのが正直なところです。

そこで、オーディオをMIDIデータへした後のクオンタイズなどを使用した編集が重要ですが、今も昔も「MIDI編集の快適さはDPがトップである」の強みを活かせます。

イベントリストのないピアノロールがメインの「Studio One」のMIDI編集機能だと、ピアノなどのオーディオデータをMIDIにしたデータの調整&編集は、かなり面倒で骨の折れる作業となります。

そのため編集や使用を断念することもありますが「Digital Performer」ならMIDI編集に関しては問題なしです。

DP11の主な新機能

Nanosamper 2.0

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DPに標準搭載されるバーチャル・インストゥルメンツ「Nanosamper(ナノサンプラー)」がバージョン 2へアップデートしました。

バージョン 10までの「Nanosamper」は、読み込んだサンプル・データを鳴らすだけだったので、ほぼ使用しなかった人も多いと思います。

しかし、DP11でバージョンアップした「Nanosamper 2.0」は、サンプルのドラッグ & ドロップによるインポートに対応し、クラシック、ワンショット、スライスの3つのプレイバック・モードや、ZTXタイムストレッチを備えたことをはじめ、自分好みのサンプル加工もできるようになっています。

リスト・フォントスケーリング

地味と言ったら地味ですが、「Digital Performer」のリストウィンドウで、UI(ユーザーインターフェイス)のスケーリングに関係なく、テキストのサイズを変更することができるようになりました。

現在では高解像度のディスプレイがスタンダードになっていますが、文字が小さくて「目の疲れ」や「肩こりも」に悩まされている人も増えているはずです。

OS側でスケーリングの設定をしても、DAW以外のすべてのソフトに反映されてしまいますので、なかなかしっくりこないで、ちょっとしたストレスになっているという人も多いはずです。

Digital Performer 10新機能のページで「SCALABLE UI により文字が大きくでき見やすくなったのが、DP10で一番評価できるところ」と書いていますが、リスト、プロジェクトノート、歌詞の3つの新しいフォントサイズ設定を DP 11で制御することができるようになったのは、個人的にかなりポイントが高いです。

Digital Performer 10(DP10)の新機能と注目ポイント
MOTUのDTM・DAWソフト「Digital Performer 10(DP10)」を「現DPユーザー」「DPへの乗り換え/併用検討組」「DAWエントリーユーザー」に分けて紹介。2019年03月に登場した「Digital Performer 10」は約4年ぶりのメジャーアップデートです。

アーティキュレーション・マップとMPE サポート

レコーディング状態でなくても「レトロスペクティブ・レコード」をコマンドを選択しておけば、DP11がメロディーやフレーズを記録しておいてくれる機能です。MIDIだけではなく、オーディオも記録しておいてくれます。

Articulation Maps, MPE Support

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その他にも「Digital Performer 11 」では「アーティキュレーション・マップ(Articulation Maps)」と「MPE サポート」などが追加されています。

両機能とも、使っていない人には関係のない機能ですが、Spitfire、VSL、East West、Cinesamplesなどのオーケストラサウンド・ライブラリを使用する人にはアーティキュレーション・マップは重宝します。

DP11のポイント

最先端技術を搭載する以上のものを提供

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他の音楽制作ソフトと立ち位置が少し違うこともあり、MOTU「Digital Performer」自体が、最先端の技術を真っ先に搭載するDAWではありません。

わたしも含めて、長きに渡り使用しているユーザーも、それは理解していて、最先端の技術を、どこよりも速く搭載する以上の使いやすや作業効率を提供してくれているので、DPを使い続けています。

スピード感みたいなものは感じませんが、ユーザーの声もしっかりと聞いていて、Windowsに対応した「Digital Performer 8」から、着実なバージョンアップを重ねています。

Digital Performer 8(DP8)の新機能 - Windowsに対応した老舗DAWの進化形
Windowsにも対応したMOTUの「Digital Performer 8」の主な新機能を紹介しているページです。2012年11月にMac版、2013年05月にWindows版「DP 8」がリリースされました。Digital Performer 8のポイントなども記載しています。

DPでMelodyneを使用することは感動

はっきり書けば、前バージョン「Digital Performer 10」からの2年ぶりのメジャーアップデートとなったバージョン 11は、他のDAWでは、すでに搭載している機能も多いため、さほど記載することはありませんでした。

大々的にメジャーアップデートと目玉として紹介されている「Nanosamper 2.0」などは何周遅れ?って感想しか持たない人がほとんどで、DPメイン人は、サードパーティー製の同等の製品を間違いなく使用しています。

しかし、後出しジャンケン的なアップデートではありますが、Digital Performer バージョン 11.2で搭載された「ARA 2 のサポート & Melodyne」は、DPで Melodyneを使用することは考えてなかったので、ちょっとした感動がありました。

Synthesizer VとDPの組み合わせ

AI歌声合成ソフトの革命児であるDreamtonics「Synthesizer V」も、次期バージョンで、ARA 2 のサポートの発表がされています。

AIボーカルの存在を避けて通ることはできない時代に突入していますが、MIDI編集の強さではトップの「Digital Performer」と「Synthesizer V」の組み合わせは、もしかすると最強の組み合わせになるかもしれません。

<詳細スペック & 価格情報>
MOTU「Digital Performer 11」の詳細スペックや価格情報に興味のある人は以下の「Digital Performerの詳細スペックと価格情報」で確認してください。

Digital Performerの詳細スペックと価格情報

MOTU「Digital Performer 11」ロゴ

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