ダイナミックマイクにしてもコンデンサーマイクにしても、かなりの数の製品が発売されていますが、ボーカル録音で1〜3万円くらいの価格帯のマイクだと定番と呼ばれているマイクは、それほど多くはありません。
宅録用のコンデンサーマイクに関しては、サイト公開時はRODEの一人勝ち状態でしたが、この分野も価格破壊が進みました。
AKGやAudio-Technicaもハイコストパフォーマンスのコンデンサーマイクを販売しているため、宅録スタジオでマイクをセレクトする際の選択肢が非常に増えました。
ここでは低価格で手に入れることのできる定番のダイナミックマイクとコンデンサーマイクを中心に紹介しますが、低価格とは言ってもかなりの高音質なのでボーカル録音時のノイズ軽減ツールと組み合わせて使うことにより宅録の力強い戦力になってくれると思います。
DTMスタジオマイクの定番
Shureのスタジオマイク
Shure(シュアー)はボーカル用の「SM58」と楽器用の「SM57」の2本のダイナミックマイクが特にメジャーなマイクメーカーです。
この2本のマイクは長く重宝するマイクで、価格も1万円前半と販売価格が安いのが特徴です。
2016年に50周年を迎えたSM58ですが、今の時代でも選ばれ続ける超定番のダイナミックマイクといっても間違いありません。
ダイナミックマイクだけでなく、低価格ながら高品質なスタジオ・コンデンサーマイクも製造しています。
Electronic Musician誌の2010年「エディターズチョイス」を、高品質で評価の高い「SM27」は受賞しています。
AKGのスタジオマイク
ナチュラルな音質が特徴のレコーディング・スタジオでもよく見かけるAKGの定番のコンデンサーマイク「C414」を、単一指向性専用にしたモデルが「C214」です。
ボーカルやアコースティック・ギターの録音だけでなく、「C214」は、さまざまな楽器に使用することができます。
実際に聴き比べると「C414」とは「C214」の音質は違い、同じ音ではありませんが、販売価格を考えると、一昔前では考えられない優れたマイクです。
コストパフォーマンスが優れているとはいえ「C214」は販売価格が3万円前後ですので、AKGにこだわるのであれば、エントリーユーザーには定番の「C3000B」の後継モデル「C3000」のほうが良いのかもしれません。
個人的に「C3000B」は、あまり好みではありませんでしたが、やはり宅録での定番コンデンサーマイクでしたので、フィットする人にはフィットすると思います。
ただ予算がある人には、長い目で見たときに「C214」をオススメします。
RODEのスタジオマイク
マイクメーカー RODEのポリシーは「安いだけではなく、優れた製品をより安く提供する」です。
世界に認められたスタジオ用コンデンサーマイクのRODEの「NT2-A」と、世界中でベストセラーを記録した「NT1-A」は、低価格コンデンサーマイクであると同時に、同価格帯での定番のコンデンサーマイクです。
音響業界のアカデミー賞にあたる2005年度の「mipa award」の「Studio Microphone」部門を受賞した「NT2-A」は指向性、PAD、ローカットを3段階で切り替えが可能で、音質は滑らかで暖かいです。
RODE「NT1-A」はノイズが少ないクリアーなボーカルを録音することができ、アコースティック楽器の録音にも最適なコンデンサーマイクです。
一昔前は、この価格帯ではありえないコストパフォーマンスに優れたコンデンサーマイクでしたが、この分野も価格破壊が進み AKGや、Audio-Technicaもハイコストパフォーマンスのコンデンサーマイクを販売しているため当時ほどのインパクトはなくなりました。
Audio-Technicaのスタジオマイク
Audio-Technicaのコンデンサーマイクで、絶対的オススメの定番は世界中の著名エンジニアが愛用している「AT4050」です。
コンデンサーマイクの買い替えを検討している人には「AT4000シリーズがオススメで、スタンダードモデル「AT4040」は、指向性は単一指向性のみですが、録音後の音は非常に使いやすいよいマイクです。「AT4050」の半値で購入できることを考えれば検討する価値があります。
ハイコストパフォーマンスを実現した Audio-Technicaのコンデンサーマイク「AT2000シリーズ」は、もしかすると、このサイトへの訪問者の大本命かもしれません。
はじめてのコンデンサーマイクを検討している人は「AT2020」「AT2035」「AT2050」で良いと思います。
価格も安い「AT2020」はベストセラーの定番マイクとなっていますが、DAWでのミキシングを考えると、audio-technicaのコンデンサーマイクは、音質にクセがないので非常に使いやすいです。
Neumannのスタジオマイク
プロのスタジオ・レコーディングでの定番コンデンサーマイク「U 87」をはじめ、近年の「TLM シリーズ」など数々のスタジオ・レコーディングにおける定番マイクを、Neumann(ノイマン)は世に送り出しています。
評価の高いコンデンサーマイクを発表し続けている1928年に創設された老舗のマイクメーカーの Neumannは「MIPA Award」の「Studio Microphone 部門」に毎年と言っても良いほど顔を出し、最優秀賞を度々受賞しています。
SEIDEのスタジオマイク(参考)
創業から10年以上経っていますが、マイクブランドの世界では新しいメーカーと言っても間違いないのがSEIDE(ザイド)です。
主力製品であるコンデンサーマイク「EC-ME」とダイナミックマイク「Pro-38S」はとにかく低価格です。
注目している人が多いのは実売価格約7,000円くらいのコンデンサーマイク「EC-ME」だと思いますが、マイク本体以外にもマイク・ケーブル、ウインド・スクリーンなども付属しています。
ダイナミックマイク「Pro-38S」にもXLRのマイクケーブルが付属しています。
尚、SEIDEはコンデンサーマイクとダイナミックマイク以外にもリフレクションフィルター「REF-1」、メタル素材のポップガード「MPG-100」、小型マイク・スタンド「ST-1」など宅録で役に立つアイテムを発売しています。
MIPA スタジオ・マイクロフォン部門受賞
2011年 Winner:Sennheiser Mk4
Sennheiser(ゼンハイザー)のコンデンサーマイク「Mk4」が「Mipa Award 2011」のスタジオ・マイクロフォン部門の最優秀賞を受賞しました。
ハイエンド・ボーカル・マイク「e965」の音響特性を元に開発されたSennheiser「Mk4」は実売価格が4万円前後という低価格が魅力のコンデンサーマイクで、ボーカルだけでなく、さまざまな楽器のレコーディングに使用することができます。
2005年度の「Mipa」のスタジオ・マイクロフォン部門を受賞したRODE「NT2-A」もそうでしたが、高額マイクを抑えて「Mipa Award」を受賞した「Mk4」は、今後、宅録環境に導入する個人ユーザーが増えて行くでしょう。
尚、他にノミネートされていたのは、スタジオ・レコーディングやライブのためにデザインされた新しいタイプの現代的なRoyerのリボンマイク「R-101」とCloudのリボンマイク「JRS-34」です。
2010年 Winner:Neumann TLM 102
2010年の「Mipa Award」のスタジオ・マイクロフォン部門にノミネートされたのはAudio-Technica「AT4080」 、Neumann「TLM 102」、Blue「Bottle Rocket Stage Two」の3本のマイクです。
そのなかで最優秀賞を受賞したのは個人ユーザーでも比較的導入しやすいのも特徴のNeumann(ノイマン)のコンデンサーマイク「TLM 102」です。
ノミネートされた他の2本のマイクも簡単に紹介すると、まず同価格帯のマイクでは実現し得なかった音楽的ディテールと繊細さを持ち合わせたBlueのコンデンサーマイク「Bottle Rocket Stage Two」はハンドセレクトされたECC88真空管を搭載した低ノイズと優れたトランジエント・レスポンスが特徴のマイクです。
次にプロで導入している方も多いAudio-Technica「AT4080」は暖かみあるリボンマイクの自然な音色を持つ、ハイゲイン設計の双指向性リボンマイクです。
高耐久性を実現しているのも「AT4080」の特徴で、ボーカルだけでなく他のパートのレコーディングにも適しているAudio-Technicaの「AT4080」は個人的にもオススメな好きなマイクです。