個人的にもよく使用しているものやチェックしたものも含めて、オススメすることのできる定番のマスタリング用のプラグイン・エフェクトを紹介しています。
旧プラグインの記事も削除していませんので、DAWにおけるマスタリング用プラグイン・エフェクトの歴史のページでもあります。
マキシマイザーを使用すれば『ミックスダウン & マスタリングのコツとテクニック』でも書いている通り、宅録スタジオでも市販レベルまでオーディオレベルを上げることができます。
現在、DAWソフトに付属しているにマスタリング・ソフトに限界を感じていて、はじめてサードパーティー製を導入しようと考えている人には、自然な感じで市販されている作品レベルまで音圧を稼ぐマキシマイザーを強くオススメします。
2018年に「現代版のオススメできるDAWマスタリング用エフェクター」を新コンテンツとして追加しましが、2024年時点では、さらにマスタリング・プラグインは進化しています。
そのため、2024年に新たに「マスタリング用エフェクター徹底ガイドの最新版」を公開する予定でいます。
マスタリング用 おすすめプラグイン・エフェクト
マスタリング用エフェクター徹底ガイド 最新版(2024年公開予定)
ストリーミング配信の時代になり「音圧競争は終わった」と勝手に思い込んでいる人がいますが、市販されているCDやハイレゾ音源は、過熱していた音圧競争時代よりも音量や音圧は上がっています。
音圧競争時代との大きな違いは、マスタリング用プラグイン・エフェクトが大きく進化したことにより、耳が痛くなる強引な音圧を上げではなく、ナチュラルな感じで音量や音圧が上がっているところです。
このサイトでも、新たに半自動のマスタリング・プラグイン United Plugins「MasterMind」のような新たなプラグイン・エフェクトも加えて、リミッター性能や最終音量に着目した「マスタリング用エフェクター徹底ガイド 最新版」を公開します。
DAWスタイル15周年記念「マスタリングある意味では究極ガイド」と連動企画となりますので、紹介するプラグインは、すべて所有しているもののみとなりますが、実際の作業のなかでチェックします。
現代版 オススメのマスタリング用エフェクター(2018年09月公開)
2017年の後半からEventide「Elevate」、IK Multimedia「T-RackS 5 Master Match」、iZotope「Ozone 8」など、マスタリング・プラグインがかなり熱く、確実にマスタリング・プラグインも次の時代へ突入しました。
長い間「WAVESのL3 シリーズ」がマスタリングの定番でしたが、時間を掛けて使い選出した「現代版のオススメできるDAWマスタリング用エフェクター」で紹介しているマスタリング・リミッターを使い始めれば、WAVESのL3 シリーズは過去の産物と言っても間違いないことに誰もが気づくはずです。
今回、FabFilter「Pro-L2」、Eventide「Elevate」、IK Multimedia「T-RackS 5 Master Match」、iZotope「Ozone 8」の4種類を選出しましたが、選出したはマスタリング・プラグインはクリエイター個人でも仕事レベル(配信レベル)でのマスタリング作業に対応することができます。
ナチュラル系のマスタリング・プラグイン
以下に紹介するエフェクターは音質をあまり変化させずにナチュラルなサウンドで音圧を稼いだり最終的なオーディオレベルの最適化することができます。
以下に記載している文章は基本的に「現代版 オススメのマスタリング用エフェクター(2019年版)」よりもまえの記事となります。
次世代へ突入した定番「Pro-L2」「Ozone」「T-RackS 5」
FabFilter Pro-L2
最近、FabFilterのプラグインを使い始めた人は非常に多いですが「FabFilter Pro-L2」の音は原音に忠実なマキシマイザーです。。
マスタリングリミッターにありがちな強引感のある音圧上げではなく「Pro-L2」は、しっかりと奥行きも感じることができます。
原音に忠実なナチュラルなサウンドですがStyleで「Transparent」「Punchy」「Dynamic」「Allround」「Modern」など、トータル8つのリミッター・アルゴリズムでサウンドキャラクターを選ぶことも可能です。
T-RackS 5「Master Match」「ONE」
2017年10月にリリースされた「T-RackS 5」は、新搭載の「Master Match」「Dyna-Mu」「EQual」「ONE」も大きな魅力ですが、バージョン 5以降で使用することのできる超一流サウンドエンジニアの設計した「シグニチャー・プリセット」も大きな魅力です。
ナチュラルサウンドというより、新搭載の「Master Match」は、リファレンス曲を解析し、質感だけでなく、音量感も自分の曲に適用することができる優れものです。
また、オール・イン・ワン・プロセッサー「ONE」も、コンプレッサーとリミッター部分の性能が非常によく、しっかりと2ミックスの音圧を出してくれます。
iZotope Ozone
マスタリングに必要なエフェクターをひとつのシステムに詰め込んだiZotope「Ozone」は、クオリティーの高いマキシマイザーにより、2ミックスに歪みや音の変化を発生させることなくオーディオレベルを上げることができる人気のマスタリングソフトです。
低価格なマスタリング用ソフトではありますが2009年に発売された iZotope Ozone 4は、MIPA2009にノミネート、Electronic Musician誌2010 エディターズチョイスを受賞するなど非常に評価の高いマスタリング・ソフトです。
2017年に登場した iZotope Ozone 8で、ほぼ別物のコンセプトの大きく進化した次世代のマスタリングソフトになりました。
音圧競争時代に輝いた「L2 / L3」「Oxford Inflator」
価格的なことも含めてマスタリング作業で一番最後にインサートするプラグインとしてオススメできたマスタリング用のエフェクターは、WAVES「L3 シリーズ」、IK Multimedia「Stealth Limiter」です。
WAVES L3 シリーズはプロだけでなく、宅録スタジオで音楽制作をしているアマチュアの人にも定番のマキシマイザーです。
そして、2015年に登場したIK Multimedia「Stealth Limiter」は、RMSだけで見ると、ひとつレベルを越えた次世代のマスタリングを予感させるマスタリング・リミッターです。
IK Multimedia「Stealth Limiter」
2015年08月に登場したT-RackSシリーズ「Stealth Limiter」は音楽表現を失うことなくラウドネス感を実現することのできるIK Multimediaのファイナル・マスタリング・プラグインの地位の復権を感じさせる新世代へ突入したマスタリング・プラグインです。
「Stealth(ステルス)」とは「透明」という意味ですが、クリアなサウンドのままにRMSを稼ぐという点で、Stealth Limiterは、当時最強レベルのマスタリングリミッターでした。
WAVES「L3 シリーズ」
WAVES L3 シリーズは、加熱する音圧競争に終止符を打ったと言っても過言ではないプロ/アマ問わずに定番中の定番プラグインでした。
マキシマイザー「L3 Multimaximizer/L3 Ultramaximizer」と「L3-16 Multimaximizer」には、わたしも本当にお世話になりました。ちなみに、今は一万円もしない価格で販売されていますが、「L3 Multimaximizer」は発売当時は9万円台前後で販売されていました。
高性能なマキシマイザーが多数ある今の時代に、あえて「WAVES L3」を選択する必要はありませんが、サブスク配信レベルならファイナルリミッターとしても、まだ現役で使用できます。
SONNOX「Oxford Inflator」
プロのサウンド・エンジニアにも高い評価を受けて来た SONNOXの「Oxford Inflator」は、一昔前に限界と思われていたレベルを超えたマキシマイズが可能なプラグインです。
マスタリング・エンジニアやミキシング・エンジニアでも、2ミックスのマキシマイザー目的で使用している人もいました。
少ない音質の変化で聴感上の音量を稼ぐことができますので、マキシマイザーとして Inflatorはピックアップされることが多いですが、ナチュラルに2ミックスの音圧を稼ぐだけでなく、各トラックに使用してもよい結果をもたらします。
Slate Digital「FG-X」
Slate Digitalのミックスのクオリティーに影響を与ることなく、サウンド・レベルを透明なままにナチュラルにブーストすることのできるバーチャル・マスタリング・プロセッサー FG-Xは日本でも人気があります。
実売価格が1万円前後とお得な価格がお手頃ですが、価格以上に満足を得ることのできる、かなり良いマスタリング・ツールで、マスタリングにおける問題点を「Slate Digital FG-X」は解決してくれます。
WAVES「L2」
マスタリング作業のときの「レベル上げ」や「音圧調整」に関しては解放された人も少なくないと思われる「L2 Ultramaximizer」は、マスタリングの世界で一時代を築いたと言っても問題のないWAVESのマスタリング・プラグインです。
難しい設定は不要で、2MIXの音質や音楽性を壊すことなく、WAVES「L2」は音圧を稼ぐことができました。
アナログ系のマスタリング・プラグイン
音圧を稼ぐことはできるが音が太くなる
アナログ系のマスタリング用プラグインをメインに使用していて、自分がイメージしている通りのマスタリング作業ができずに前に進んでいないと感じている人も多いと思います。
その大きな原因は「マキシマイザーを計算したミックス」でも書いていますが、音が太くなるアナログの暖かいサウンドを得ることのできるプラグインは音圧を稼ぐことはできますが、2ミックスの立体感や音質がかなり大きく変化してしまうところにあります。
音質変化の少ないプラグインが好まれる
2ミックスはアナログ機器特有の良い感じのサウンドになりますが、一番最後にインサートするプラグインとしてアナログ系エフェクターを使用する場合は、その前の段階でのEQやコンプ処理が重要になってきます。
前後の曲との関係で2ミックスをアナログ的な暖かいサウンドにしたいときなどは、ナチュラルサウンドのマキシマイザーの前にアナログ系のコンプレッサーとEQをインサートして2ミックスの音質や質感の調整をしてみるとよいです。
現在はDAWベースのマスタリングでは、少ない音質の変化でマキシマイズすることができるプラグインを一番最後にインサートしている人が多いのです。
定番だったアナログ系「初代 T-RackS」「Vintage Warmer」
2ミックスにアナログ機器のテイストを加えるマスタリング用エフェクターとして定番だったのは、バージョン 3で魅力的なエフェクターが多数追加された IK Multimediaの「T-RackS」と、混迷していた音圧競争時代に登場して人気を得たPSP Audioの「Vintage Warmer」です。
IK Multimedia「T-RackS Classic」
IK Multimediaの初代「T-RackS(現 T-RackS Classic)」は「Classic Equalizer」「Classic Compressor」「Classic Multi-band Limiter」「Classic Clipper」の、マスタリングに必要な4つのプラグインで構成されるマスタリング・ツールです。
アナログ・マスタリング機器をDAWソフトの上で再現することができる初代「T-RackS プラグイン」のアナログ真空管機器の豊かで暖かいサウンドは定評がありました。
現在、わたしは「T-RackS Classic」を使用していませんが「Classic Clipper」などは、かなり使用していた時期もあります。
PSP「Vintage Warmer」
PSP「Vintage Warmer」は、暖かみのあるアナログサウンドが特徴のマルチバンド・コンプレッサー/リミッターで、2ミックスや各トラックにアナログ的な太さや音圧を出すことができます。
一目瞭然で太くなるサウンドは音圧競争時代に「音圧を手軽な価格で稼げるプラグイン」として人気があり、マスタリング目的で導入した人も多いです。
プリセットも豊富で、サチュレーション効果を再現することもできる「Vintage Warmer」は、現在でも愛用者はいて、マルチバンド・コンプレッサー/リミッターですがシングルバンドでも使用することができます。
現在は使われていないマスタリング・プラグイン
生産完了品や、現在は使われていないマスタリング用プラグイン・エフェクトを参考までに記載しておきます。
一部でよく使われた「PowerCore」「Maxim」
PowerCore用マスタリング・エフェクター
参考までにTC ElectronicのPowerCore専用のマスタリング用のプラグイン・エフェクトの記事を残しておきますが、パソコンの高スペック化に伴い需要が減ったためかTC ElectronicのPowerCoreはすでに生産を完了しています。
紹介しているのはパンチのあるマスタリングが可能な最大5バンドの「MASTER X5」と、System6000の「MD3 Multiband Dynamics」と「BrickWall Limiter」のアルゴリズムが含まれているのが特徴の「MD3 Stereo Mastering」です。
Digidesign Maxim
DigidesignのMaximはPro Tools用のマキシマイザーで、オリジナルサウンドのクオリティを保ちながら、オーディオのトータル・レベルを最大化することが可能です。
プロのエンジニアにマスタリングされたようなサウンドにすることができますが、ミックスのステレオ・マスターだけではなく、環境内のさまざまなトラックに対してもMaximは効果があるのでミキシング時にも使用することができます。
厳しかったプラグイン・エフェクト
BBE Sonic Maximizer plug-in
各トラックにもミックスダウン、マスタリングにも使用可能なBBEの「Sonic Maximizer plug-in」はハードウェア機器のBBEソニック・マキシマイザー「482i」と「882i」の機能をプラグインにしたものです。
マスタリングやギターなどのプリセットもBBE「Sonic Maximizer」は搭載しています。
YAMAHA FINAL MASTER
YAMAHA「FINAL MASTER」は、楽曲全体のバランス/レベルなどをコントロールして、ダイナミックな2ミックスを制作することのできるマスタリング専用のプラグインエフェクトです。
帯域分割周波数は任意に設定可能な3バンドのコンプレッサー/リミッターを搭載していて、CD制作をサポートしてくれるプリセットエフェクトを15タイプYAMAHA「FINAL MASTER」は内蔵しています。