Avid(アビッド)の業界標準DAWソフトの最新版となる『Pro Tools 2018』が2018年01月にNAMM SHOWで発表されました。
作曲・編曲のためのMIDI機能を大幅に強化された『Pro Tools 2018』は、「ProTools 13」にあたるバージョンアップとなりますが、今バージョンで新たなバージョニング・ルールが採用され『Pro Tools 2018』という名称です。
新たなバージョニング・ルールが採用されたのを機会に、このサイトでも数年ぶりにPro Toolsの記事を書きたいと思います。
Pro Tools 2018の主な新機能
新たなバージョニング・ルールに基づいた『Pro Tools 2018』ではMIDI機能追加/改善や、作業のスピードアップと効率化に役立つ多くの機能・ツールが搭載されています。
トラック・プリセット機能
エフェクト・チェーンやインストゥルメント・サウンドをプリセット化するトラック・プリセット機能がPro Toolsに新たに搭載されました。
1曲に何十トラックも使うのが現在では当たり前ですが、楽曲を制作する度にゼロから構築してゆくのは、なかなか骨の折れる作業です。
Pro Tools 2018で搭載されたトラック・プリセット機能は、トラック設定の保存、カタログ化、呼び出しを素早く実行することができ、セッションやミキサー構築の時間を大きく短縮してくれます。
MIDI機能の大幅な強化
MIDI機能を大幅に強化された『Pro Tools 2018』のポイントは「さかのぼりレコード機能(Retrospective MIDI Record機能)」と「コード抽出機能」です。
<さかのぼりレコード機能>
まず「さかのぼりレコード機能」はMIDI録音を復元することができる機能ですが、少しわかりにくいので解説すると、録音ではなく再生の状態で演奏をしても弾いていたMIDIデータを再現してくれるという機能です。
録音状態でなく気楽に何となく弾いた演奏が、すごく良かったという人も多いと思いますが、この「さかのぼりレコード機能」は録音状態ではないときに弾いても、トラック上に弾いていたMIDIデータを再現してくれます。
演奏を停止したときにイベントメニューを開くかショートカットの「Shift‐C」で、その演奏をタイムラインに加えてくれます。
<コード抽出機能>
次に「コード抽出機能」ですが、MIDIやインストゥルメント・トラックを解析を基にコードを解析して、コード・ルーラーに四分音符ごとにコードをコピーすることができるようになりました。
CUBASEあたりでコードトラック機能を使用している人も多いと思いますが、結構コードをひとつひとつ選択して入力するのが面倒と感じているのではないでしょうか?
Pro Toolsの「コード抽出機能」はコード・ルーラーやスコア・エディターにコードをコピーすることができるので、そんな面倒からは開放されます。
また『Pro Tools 2018』では移調、ノートオン/ノートオフの位置調整、MIDIベロシティ調整用の「MIDI編集の新ショートカット」が加わりました。
「さかのぼりレコード機能」という名前もそうですが、この分野も「ドラえもん」の世界みたいな感じになってきたような気がします。
ミックス時の視認性向上
他のDAWでは当たり前のように搭載されていたので今さら感がありますが、MIXウインドウ内でのEQカーブ・グラフィック表示が『Pro Tools 2018』で可能になりました。
Pro ToolsのビルトインEQはもちろんのこと、対応しているサードパーティ製プラグインも表示されます。
現在の定番と言っても間違いないFabFilterのEQのEQカーブも、しっかりとMIXウインドウ内で表示してくれます。
また、Pro Toolsでプリフェーダー・センドやオートメーション・レーンのカラーインジケーター表示がされるようになり見分けやすくなりました。
その他にもトラック・コンピング機能の強化であったり、簡単になったクラウドコラボレーション、iLokキーがなくてもソフトを使えるiLok Cloudをサポートなどもありますが、個人的に特筆するところは上記です。
細かいところは販売店やメーカーで確認してもらったほうが良いと思います。
本当に数年ぶりのPro Toolsの記事になりますが、まさかPro Toolsの記事でMIDIのことをこんなに書くとは思いませんでした。