2011年10月に前回のバージョン 9へのアップグレードから約1年という短い期間でAvidの「Pro Tools 10」が発表されました。バージョン 10ではパフォーマンスやサウンド・クオリティーが向上しています。
2013年に「Pro Tools 11」がリリースされたため、このページで紹介している「Pro Tools 10」は旧バージョンとなります。
Pro Tools 10の主な新機能
パフォーマンスの向上
バージョン 10の「Pro Tools」では「クリップゲイン」「ディスク処理機能の改善」「リアルタイム・フェード」などにより、前バージョンよりもパフォーマンスが良くなっています。
注目点はクリップ(「Pro Tools 9」ではリージョン)のレベルを簡単に変更することのできる「クリップゲイン機能」です。この機能の追加によりミックス前にゲイン・レベルの調整をすることができるため、スピーディーな編集&ミックスダウン作業が可能になりました。
また、強化されたディスク・キャッシュによりノートPCや外付けHDDなどの遅いドライブでも、レコーディングや再生時のレスポンスが良くなった点や、リアルタイム・フェードによりフェードを多用した場合でも、セッションを素早く開くことができるようになった点も評価できるところです。
サウンド・クオリティーの向上
ディスク容量が16bitや24bitに比べて必要になることや最終段階では16bitに落とすことを考慮して、一般的な宅録スタジオなら24bitで充分という方も多いと思いますが、32bit 浮動小数点フォーマットに「Pro Tools 10」で対応しました。
そのため、録音、編集、ミックス作業でより高い解像度の高音質サウンドを得ることができるようになっています。
Avid Channel Strip 付属
高品質なラージコンソールがベースのAAXプラグイン「Avid Channel Strip」が「Pro Tools 10」でバンドルしました。
バージョン 10の目玉のひとつである「Avid Channel Strip」は人気のコンソール「System 5」を移植したプラグインで「System 5」と同じEQ、ダイナミクス、フィルターなどをPro Tools上で使用することができます。
Pro Tools 10のセレクトポイントと詳細スペック
セレクトポイント
はじめて「Pro Tools」を導入する方には問題ありませんが、主にパフォーマンスと音質の向上に重点を置いた「Pro Tools 10」へのアップグレードは、トラック制作に重点を置いているバージョン 9のユーザーには、それほど魅力的に映らないかもしれません。
確かに今回のバージョン 10は「Pro Tools 9」が登場したときのインパクトはありません。それでもレスポンスが良くなった点や「Avid Channel Strip」の搭載などは充分に評価することができますので、バージョン 9のユーザーはアップグレード価格との相談となります。
尚、わたしはアップグレードしましたが、Mac OS X Lionでも特に問題なく「Pro Tools 10」を使用することができています。
詳細スペック
プロユース向けのアップデートとなった「Pro Tools 10」高品質プラグイン「Avid Channel Strip」が搭載されたこともありバージョン 9よりも販売価格も高くなっています。