2019年03月に発表されたMOTUのDTM・DAWソフト「Digital Performer 10(DP10)」は、約4年ぶりのメジャーアップデートです。
このサイトで2015年に「Digital Performer 9の新機能」のページを公開していますが、バージョン9のときが約2年半ぶりのメジャーアップグレードだったので、結構ニューバージョンまで長かったかな?という感じです。
このページでDP10の新機能をピックアップして書こうと思いましたが、ネット上にメーカー情報のコピペ文が溢れかえっているので、あえてこのサイトで詳しく書く必要もないかなと思います。
そこで「現DPユーザー」「DPへの乗り換え/併用検討組」「DAWエントリーユーザー」用の記事を中心に「Digital Performer 10(DP10)」を紹介します。
旧バージョンからのDP10 アップデート・ポイント
SCALABLE UIで文字が大きくできる
わたしは古くからDPを愛用してきたユーザーですが、「がんばって欲しい!」「やっぱりDPが最高だ!」という人は4年ぶりですので、アップデート料金を払ってバージョン 10にするのもありかなと思います。
ただ、この4年のあいだにDAW関連は価格破壊が起きていますので「Studio One」や激安「ACID Pro」を併用して使用する人も増えました。
DPにこだわっている人がどれくらいいるかは不明ですが、個人的にはDAW機能ではないですが「SCALABLE UI」により文字が大きくでき見やすくなったのが、DP10で一番評価できるところで、アップデートする価値は充分すぎるくらいあります。
約5GBの音源ライブラリと6GBのフリーループ&サンプルパック
文字が大きくなっただけで、高いアップデート料金は払いたくないという人もいると思いますが、300種以上の楽器、1,100の音色と500種類のループから構成される約5GBのMOTU Instruments(音源ライブラリ)と、6GBのフリーループ&サンプルパックが付属します。
音源ライブラリは「UVI Workstation」で使うことのでき、MOTUのソフトシンセ「MachFive 3」がベースとなっています。
ライブラリに収録されるのはアコースティック&エレクトリックドラムキット、ピアノ、ギター、ベース、オルガン、弦楽器、木管&金管楽器、シンセサイザー、民族楽器、ボイスサンプル、コーラス、パーカッション、SEなどです。
2015年に「MachFiveとDigital Performer」でMachFiveのライト版をDPに付属して欲しいと書きましたが、時代の流れにMOTUも合わせてきた感じです。
フリーループ&サンプルパックは「Big Fish Audio」「Lucidsamples」「Loopmasters」の大手のものです。
今は結構使えるものがDPにも標準搭載してますが、プラグイン・エフェクトにしてもソフトシンセにしても、DP純正は個性的というより微妙だったため、DP使いは昔からサードパーティー製の製品が重要でした。
そのため長い間「Digital Performer」を使用している人からは「この時代にたった5GBのソフトシンセ?」、もう「Native Instruments KOMPLETE」持ってるから必要ないという声が聞こえてきそうですが・・・
乗り換え/併用検討組のためのDP10のポイント
やっと搭載された「VST 3」「コンテンツブラウザー」「VCAフェーダー」
このページ見ている人は「CUBASE」と「Studio One」を所有していてDPを比較対象にしている人が多いと思います。
確かにDPは操作面では優れていますが、機能の面で「Digital Performer 10」になったからと言って特筆すべき点は、あまり見当たらないというのが正直なところです。
4年ぶりということもあり、かなり機能強化されたメジャーアップグレードではありますが「クリップウインドウ」であったり「新しいオーディオストレッチ機能」を強調しなくてはならないので、まったくインパクトがないです。
今では珍しさはない「コンテンツブラウザー」や「VCAフェーダー」も搭載され、「VST 3」にも対応しましたが、アップデートのスパンが短いソフトと比較すると、後出しでやっと搭載されたという感じもします。
そのため現行の「CUBASE Pro 10」と「Studio One 4.5」を使用している人に、バージョン 10になったからといって機能の面でオススメという点はないです。
強化されたMIDIノート表示
個人的にDP10で地味に嬉しかったのが、各ノートのピッチをすばやく識別するためのベロシティ「サーモメータ」とMIDIノート名を含むノート表示の「強化されたMIDIノート表示」ですが、「CUBASE」では昔から搭載されている機能です。
大きなDPの売りである「MIDIのイベントリスト」を使いたい人は良いかもしれませんが、最近はソフトシンセの表現力が飛躍的にアップしていますので、イベントリストを使う人は、わたしの周りでも年々少なくなっています。
DAWエントリーユーザーのDP10 選択
Digital Performer 10を視野に入れる前に
ちょっと楽しみたかったり音楽制作に慣れるのが目的なら「Digital Performer 10」は不要で、キャンペーン時は1万円以下の「ACID Pro」であったり、自動作曲機能もある「Music Maker」で充分です。
真剣な制作を考えている人もいると思いますので補足しておくと「ACID Pro」に関してはソースネクストによって安くなっているだけの話で、フルバージョンですので、普通にメインDAWとして使えるソフトです。
DP愛用者には、特にMIDIの部分でどうしても馴染めないところがありますが、付属音源も豊富で1万円以下で購入できるレベルのソフトではないです。
DPにはコードトラックがない
最近ではコードトラックを装備するコード対応のDTM作曲ソフトが主流となっていて人気の「CUBASE」や「Studio One」には、しっかりとコードトラックがありますが「Digital Performer」にはありません。
まず「CUBASE」や「Studio One」と同様に「コードトラックの装備」をしない限りは「Digital Performer」が新規ユーザーを獲得してゆくのは難しいです。
わたしは長いあいだ「Digital Performer」と、紙のコード譜で、プリプロからミックス前の作業まで行っていました。
当然、作業中にコードを変更するときは、鉛筆と消しゴムが必要でしたが、コードトラックは数クリックでコード変更できてしまうので、紙も鉛筆も消しゴムも必要ありません。
主要DAWの「CUBASE」にコードトラックが搭載されはじめの時期は、別にコードトラックはなくても平気だったのですが、一度ペーパーレスに慣れてしまうと元には戻れません。
後、国内でユーザーが少ないので、かなり長いあいだ「Digital Performer」はガイドブックが出ていませんし、ネットでの情報も乏しいです。
今ままでと違った感じでMOTU「Digital Performer 10」を紹介しましたが、正直にユーザー視点で書きました。
MOTU「Digital Performer 10」の詳細スペックや価格情報に興味のある人は以下の「Digital Performer 10の詳細スペックと最安値情報」で確認してください。