簡単に作曲を楽しみたい人などにオススメすることができる PG Music(ピージーミュージック)の「Band-in-a-Box」はコードを画面に貼り付けてゆくだけで、簡単に伴奏を完成させることのできる自動伴奏・楽曲作成ソフトです。
最新バージョンは2020年11月に登場した「Band-in-a-Box 30」となり、この音楽制作ソフトには、Macintosh版とWindows版がありますが、Windows版のリリースが先行しています。
Band-in-a-Boxの特徴
コード指定で伴奏が完成
コード進行と音楽スタイルを指定することで、自動的にピアノ、ベース、ドラムス、ギター、ストリングスなどの伴奏を完成させることができるのが自動音楽生成ソフト「Band-in-a-Box」の特徴であり大きな魅力です。
各セクションごとに、演奏のバリエーションを変化させたり、シンコペーションを含むコード進行や、複合/混合拍子にも「Band-in-a-Box」は対応しています。
また、メロディートラックにメロディーを入力すると、コード進行を生成してくれるので、誰でも簡単に1曲を完成させることができます。
このソフトの要は伴奏スタイルとリアルトラック(音素材)で、「MegaPAK」以上のパッケージならスタイル、ソロパターン、リアルドラム等を大幅に拡張することができ、編曲のバリエーションを増やすことができます。
自動作曲機能
AI作曲機能を搭載するMAGIXの「Music Maker」と、どちらにしようか迷っている人もいると思いますが、AIによる補助はありませんが、作成したい楽曲のジャンルやテンポなどを選択するだけで、自動的に作曲する機能が「Band-in-a-Box」にも搭載されています。
他のDAWソフトとの連携
スタンダードMIDIファイルの書き出しと読み込みに対応しているので「Band-in-a-Box」で制作したものをMIDIファイルに書き出し、他のメインで使用しているDAWソフトに読み込ませることができます。
バージョン 18からはメインのDAWソフトに、各トラックをドラッグ&ドロップする「DAWプラグイン機能」が新機能として搭載されたので、メインのDAWソフトと「Band-in-a-Box」が同じパソコンにインストールされている場合は、スタンダードMIDIファイルに書き出す手間がなくなり使い勝手がよくなっています。
メインソフトに取り込んだMIDIデータは良質のソフトシンセで再生しながらベロシティーなどを修正してあげれば、楽曲のなかで「使えるトラック」を完成させることも可能です。
初心者〜中・上級者まで使えるソフト
音楽初心者はもちろんのこと、中級者や上級者でもメインのDAWソフトとの連携が前提なら楽曲制作のなかでパートナーソフトとして役に立ってくれる音楽制作ソフトなので、持っておいて、けして無駄にはならないソフトです。
プラグイン・エフェクター等の関係もあり「Band-in-a-Box」単体で市販レベルのクオリティーの作品に完結させるのは困難ですが、DAWソフトと連携させることが前提なら曲のモチーフ作りなどのプリプロ段階などで「Band-in-a-Box」はかなり使えるソフトです。
Band-in-a-Boxのバージョンごとの新機能
年に一度のペースくらいでWindows版の「Band-in-a-Box」は、バージョンアップしていて、伴奏作成ソフトの中核である「スタイル」と「リアルトラック(音素材)」の数もバージョンアップの度に増えています。
最新バージョンは2022年にリリースされたPG Music「Band-in-a-Box 30」となり、通常版の基本グレード「BasicPAK」、ミドルグレード「MegaPAK」、ハイエンドモデル「EverythingPAK」がありますが、音楽制作ソフトとしての機能はどのグレードも同じです。
Band-in-a-Boxのオーディオ機能
基本的なオーディオ機能を搭載
Band-in-a-Boxには、オーディオ録音のパンチイン/アウト録音などの基本的なオーディオ機能や、実際のスタジオミュージシャンの演奏を録音して作成した「リアルトラック」と「リアルドラム」などを搭載されています。
バージョン 17から搭載した、オーディオトラック編集機能もあるシーケンスソフト「RealBand」と併用することにより、細かいトラック編集を行なうこともできます。
オーディオコード・ウィザード
コードと同時にテンポやキーの分析してくれる「オーディオコード・ウィザード」を「Band-in-a-Box」は搭載しています。
MP3、WAV、WMA等のオーディオファイルのコードを自動分析して、コードシートに書き込んでくれます。
曲のコードだけでなく、テンポやキーの分析も行ってくれるのが「Band-in-a-Box」のオーディオコード・ウィザードの優れているところです。
オーディオハーモニーエンジンとチューナー機能
Band-in-a-Boxには「オーディオハーモニーエンジン」と「チューナー機能」という便利な機能が搭載されています。
まず「オーディオハーモニーエンジン」ですが、この機能はコード進行やメロディーに従った最大4音までのハーモニーが付けることができる機能です。また、ピッチ補正機能も内蔵しているので、少しくらい音を外しても、「Band-in-a-Box」が自動的に補正してくれます。
次に「チューナー機能」はギターやベースなど生楽器を「Band-in-a-Box」の伴奏と併せて演奏するとき重宝します。チューナー機能があるので、「Band-in-a-Box」とのセッションの度に、別途ギター用のチューナーを準備する必要はありません。
Band-in-a-Boxの各パッケージとセレクトポイント
Band-in-a-Boxの各パッケージ
PG Music「Band-in-a-Box シリーズ」には、通常版「BasicPAK(ベーシック・パック)」、ミドルグレード「MegaPAK(メガ・パック)」、ハイエンドモデル「EverythingPAK(エブリシング・パック)」の 3種類のグレードが販売されています。
Band-in-a-Box シリーズ の3ラインナップは、かなり長いあいだ変更はありません。掲載している画像だと、4ラインナップあるように見えますが、Band-in-a-Boxの解説本をセットにしたパッケージが、以前は販売されていました。
画像の2013年07月にリリースされた「Band-in-a-Box 21」の解説本バンドルには「Band-in-a-Box 20 超かんたん作曲術」がパッケージされていました。
各グレードによる音楽制作ソフトの機能の違いはありませんが、このDTMソフトの要である「スタイル」「メロディスト」「ソリスト」の収録数が圧倒的に違います。
細かいところまで気配りされていて初心者から上級者までさまざまな利用法のある「MegaPAK」と「EverythingPAK」は、音楽制作者にとってかなりのメリットがあり、高い評価を与えても問題ないと思います。
Band-in-a-Boxの解説本
バージョン 22を最後に新たな発刊はありませんが、「Band-in-a-Box」の解説本には「Band-in-a-Box 超かんたん作曲術」「万能おまかせ作曲ソフトBB 入門ガイド」などがあります。
バージョン 19あたりから書籍化されていた「万能おまかせ作曲ソフトBB入門ガイド」は、現在でも購入することができます。
Band-in-a-Boxのセレクトポイント
やはり通常版だと収録されている音楽スタイルデータが少なく、ある程度ソフトを使い込むと、すぐに「MegaPAK」か「EverythingPAK」にしておけばよかったということになります。
そのため長い目で見たときに、収録されている音楽スタイルデータが多いミドルグレード「MegaPAK」以上のパッケージがオススメです。
収録数の少ない通常版「BasicPAK」だと、すぐに限界を感じてしまい、遅かれ早かれ飽きてしまいます。
細かい編集やミキシング作業などは他のDAWソフトで行なうという人には、金額面などから、総括すると、個人的には「MegaPAK」が「Band-in-a-Box」のなかではオススメです。
ソフトシンセ & ループ集の組み合わせも検討
作品を「Band-in-a-Box」だけで完結させようとしている人や、ソフトシンセ & ループ集的な目的での導入を考えている人は問題ありませんが、2.5インチHDD版の「EverythingPAK」になると、金額が高額になります。
最近は「コード入力対応のDTM・DAW – コードトラック搭載おすすめソフトの比較」で紹介しているとおりに、 W. A. Production のAI(人工知能)を使用している「InstaComposer 2」のような製品もありますし、高度なレベルでのコード入力に対応しているDTMも充実しています。
そのため、自分の目指す最終的な作品クオリティーを頭に入れて、他のループシーケンス機能を搭載したDAWソフトと、ソフトシンセ & ループ集の組み合わせも検討してから導入を決定したほうがよいと思います。
PG Music(ピージーミュージック)の自動伴奏・楽曲作成ソフト「Band-in-a-Box」はバージョン17以降は、バージョンを重ねるごとにどんどんよくなり魅力的になっています。各パッケージの詳細スペックや価格情報などに興味のある人は「Band-in-a-Boxの詳細スペック & 価格情報」で詳細を確認して下さい。