各パートの音源
各楽器の演奏データを入力する
ギター、ベース、ドラム、ピアノなど各楽器をすべて自分一人で演奏することができて、レコーディングできるという人は少数派だと思います。
防音などの面からも、特に生ドラムのレコーディングを自宅で行うのは、ボーカル録音よりも現実的な話ではなく、かなり厳しいです。
そこで、DTM・DAWソフト(シーケンサーやシーケンスソフト)に、音程(ピッチ)、音の強弱(ベロシティー)、長さ(デュレーション)など、ギター、ベース、ドラム、ピアノなどの各楽器の演奏データMIDIを入力する「打ち込み」という作業をして演奏させることになります。
ソフト内臓のディスプレイ上のキーボードでも、演奏データの打ち込みをすることが可能ですが、作業効率がよくないので、外部のDTM用のMIDIキーボードを使用する場合がほとんどです。
ハードウェア音源とソフトウェア音源で発音
DTM・DAWソフトなどのシーケンスソフトにプログラムされた演奏情報は、それだけでは音が出ません。
そのためハードウェア音源(シンセサイザー)と、ソフトウェア音源(ソフトシンセ)へプログラムされた演奏情報を送って発音させます。
初心者に人気のあるKORG「KROSS 2」、YAMAHA「MXシリーズ」、ROLAND「JUNO-DS シリーズ」などの、エントリーユーザー向けのシンセサイザーはハードウェア音源となります。
ソフトシンセが主流
ソフトシンセは低価格でスペースや電源を必要としない
大昔だとMIDIを使用したハードウェア音源が主流でしたが、現在の宅録スタジオでは「低価格」「省スペース」「高性能」「高音質」などの特徴を持つソフトシンセと呼ばれるソフトウェア音源が主流です。
ソフトシンセが主流になってきた理由として、ソフトウェア音源はハードウェア音源に比べて低価格なだけでなく、スペースや電源を必要としないことなどがあげられます。
高額なだけでなく場所も取りメンテナンスも必要だった往年の名機であるハード・シンセサイザーも、今ではソフトシンセとして数万円程度の価格で販売されています。
ハードウェア音源を凌ぐソフトウェア音源
また、パソコンの性能の向上に伴いハードウェア音源を凌ぐソフトウェア音源が増え続けていることも主流になってきた大きな理由のひとつで、市販されている楽曲にもソフトシンセは当たり前のように現在では利用されています。
ドラムやベースに関しては、実際の演奏家の仕事をソフトシンセが奪ってしまったと言っても大袈裟ではなく、ほとんどの人が違和感なく聴いている作品でも、生演奏ではなく、打ち込みのものも多いです。
ソフトシンセはPCスペックが重要
音の遅延とPCスペック
ハードウェア音源とは違いソフトウェア音源には使用しているCPUやメモリなど、パソコンのスペックによっては音の遅延(レイテンシー)の問題が生じます。
しかし最近は高スペックなパソコンが登場しているので、ソフトシンセが主流になっている現在では極端なレイテンシーの問題は解消されつつあります。
パソコン自体が大幅にコストダウンしているので、あまりにソフトシンセ使用時に音の遅延が気になる人は、音楽制作時のストレスや作業効率を考えると最新パソコンへの買い換えを考えたほうがよいと思います。
BTOパソコンやメーカー直販がオススメ
音楽制作中心での使用を考えたパソコンにしたい場合は、同じスペックのパソコンでもネットでオーダーすることのできるBTOパソコンや、メーカー直販のほうが店頭で販売されているPCよりも格安なのでオススメです。
価格が安いだけでなく、使わないような無駄なソフトなどがインストールされていないのも、BTOパソコンの大きなメリットです。
現在、高スペックPCを他社よりも安く購入することができる Lenovo(レノボ)がPC世界シェアトップですが、当然、Lenovoのパソコンでもスペックを間違えなければ大丈夫です。
ソフトシンセの選び方
DAWソフトにもソフトシンセは付属
最近のDAWソフトには数GB単位のソフトシンセがあらかじめ付属している製品が多いので、音源に関しては、はじめて宅録スタジオを構築しようとしている人は、あまり悩まなくても大丈夫だと思います。
ただ、MIDIキーボードやオーディオインターフェースなどのハードウェア製品に付属してくる「Ableton Live Lite」などのエントリー版のソフトだと、さすがに厳しいです。
また、DAWソフト付属のソフトシンセだと最上位版に付属しているものでも、やはり限界がありますので、付属しているソフトシンセに物足りなさを感じたときに、新たに必要だと感じるパートの音源の導入を検討する必要があります。
マルチタイプ音源は向上している
ギター、ベース、ドラム、ピアノ、ストリングスなど、各楽器に特化したソフトシンセは、クオリティーが非常く、言われなければ、生演奏なのかソフトシンセなのかどうかもわからないレベルです。
マルチタイプ音源は、上記した楽器を含めて、さまざまな楽器をひとつに収録したソフトシンセです。
各楽器に特化した専用のフトシンセには劣るというイメージがありますが、最近はかなりサウンドがリアルになっていて、中途半端な特化型のソフトシンセよりもリアルでよいものもあります。
DAW付属の音源に物足りなさを感じた人は、まずはマルチタイプの音源をチェックすることがオススメです。
詳しくは「DTMマルチタイプ & サンプラー音源のオススメ」を参照してもらえればわかると思いますが、かキャンペーンが頻繁に行われる庶民の味方IK Multimedia「SampleTank」のスタンダード版以上は、ステップアップに最適なマルチタイプのソフトシンセです。
歌声合成ソフトもソフトシンセ
実在するボーカルと聴き分けがつかないレベルにまで到達したDreamtonics「Synthesizer V」などのAI歌声合成ソフトもソフトシンセです。
歌声合成ソフトはソフトシンセという認識がない人のほうが多いかもしれませんが、YAMAHA「Vocaloid」も「Synthesizer V」もボーカル音源です。