最上位版が約2万円の大幅な値下げとなった2012年11月に登場したCakewalk(ケークウォーク)のDAWソフト『SONAR X2』には、トータルで100種類以上の機能が追加されました。
2年ぶりのメジャーアップグレードとなった今バージョン『SONAR X2』の注目すべき主な新機能は「大幅に改善されたワークフロー」「新たなハイレベルなプラグインの追加」「Pro Channelの進化」などです。
尚、前バージョンの『SONAR X1』と同様に、『SONAR X2』にも「PRODUCER」「STUDIO」「ESSENTIAL」の3つのグレードがラインナップされています。
ユーザーインターフェースやDAWソフトとしての基本的な機能は、どのグレードでも、さほど変わりはありませんが、搭載するエフェクターやソフトシンセ等が違います。
<追記>
2013年に『SONAR X3』が登場したので、このページで紹介している『SONAR X2』は旧バージョンになります。
SONAR X2の主な新機能
ワークフローの改善により作業効率アップ
今回のバージョンアップで真っ先に目が行くのはユーザーインターフェースの変更です。
作業効率をアップさせるためにワークフローが『SONAR X2』全グレードで大きく改善されて「視認性」と「操作性」が良くなり、オーディオやMIDIデータをスピーディーに編集することが可能になりました。
まず、一目でクリップの状態を確認することができるようになり視認性が向上した「クリップ・ビュー」では、MIDI、オーディオ、オートメーションを直接編集することができます。
次に「オートメーション・レーン」の追加や「テイク・レーン」への変更などレイヤー機能も強化され、操作性が良くなりました。「オートメーション・レーン」が追加されたため『X2 シリーズ』では、同時に複数のオートメーションを表示させたり編集することもできるようになっています。
そして、編集画面をズーム・イン/ズームアウトすることにより自動的にスナップ設定を切り替えてくれる「スマート・グリッド」が搭載されたため、MIDIデータの打ち込みや波形編集は、かなり効率が良くなり直感的になります。
ProChannelに2種類のモジュールを追加
最上位版の『SONAR X2 PRODUCER』の目玉機能でもあるチャンネルストリップ「ProChannel」に「FX Chain Module」と「Console Emulator」の2種類のモジュールが新しく追加にされました。
1つ目の「FX Chain Module」は複数のプラグイン・エフェクトを組み合わせてマルチエフェクトとして使用することのできる「FX Chain」を「Pro Channel」に統合するモジュールです。
2つ目のレコーディング・スタジオのアナログ・コンソールの名機を再現したナチュラルな歪みを付加することのできるモジュール「Console Emulator」は「S-Type」「N-Type」「A-Type」の3タイプのコンソール・モデルを選択することができます。RMS/Peekの切り替えができる出力レベルメーターも装備しているのでマスタリングでも活躍します。
SONAR X2 追加プラグイン・エフェクト&シンセ
新たに『SONAR X2』で追加されたプラグイン・エフェクターは「R-MIX SONAR」、Overloudの「TH2 PRODUCER」、「BREVERB SONAR」で、サードパーティー製のエフェクターをSONAR用にプラグイン化したものです。
この3つのプラグインは最上位版『SONAR X2 PRODUCER』のみの追加ですが、この3つのエフェクターはかなり贅沢で強力です。
BREVERB SONAR
Overloudの「BREVERB SONAR」は多くのヒット曲でも使用された名機をエミュレートした高品位なリバーブ・プラグインです。
フルバージョンの「BREVERB 2」が6アルゴリズムに対し、SONAR版は4アルゴリズムですが、それでも、充分に高品位で上品な定番スタジオのリバーブ・サウンドを得ることができます。
TH2 PRODUCER
Overloudのギター用アンプシミュレーター『TH2』は実売価格で2万5,000円前後はギターサウンド・プロセッサーです。
その『TH2』をSONAR用にプラグイン化した「TH2 PRODUCER」は自由度が高く、ハイクオリティーなギターサウンドを得ることができます。
わたしは基本的にアンプシミュレーター『Amplitube 3』を主に愛用していますが、『Amplitube 3』と比較しても「TH2 PRODUCER」の出すギターサウンドは想像していたよりも良いです。
そのため「TH2 PRODUCER」をメインのアンプシミュレーターにしても、まったく問題のないサウンドクオリティーです。
尚、最上位版の『PRODUCER』のみに「TH2 PRODUCER」は搭載していますが、「SONAR X2 STUDIO/ESSENTIAL」にも「TH2 SONAR」が付属しています。
Rapture フルバージョン
ソフトシンセも「Rapture」がライト版からフルバージョンになりました。これも『SONAR X2 PRODUCER』の特筆すべき点です。「Rapture LE」はプリセットが200以上でしたが、フル版は600以上のプリセットも装備されています。
SONAR X2 セレクトポイント
X2 PRODUCERがおすすめ
今バージョンの目玉である「R-MIX SONAR」やOverloudのアンプシミュレーター「TH2 PRODUCER」など付属するプラグインなどから考えると、やはり3ラインナップのなかでは『SONAR X2 PRODUCER』がオススメです。
サードパーティー製のエフェクターやソフトシンセをメインにしている方でも「Pro Channel」やプラグインは魅力がありますので、このシリーズを音楽制作のメインに考えているのであれば、最上位版の『SONAR X2 PRODUCER』で間違いないと思います。
他のDAWソフトとの比較になると、同時期に定番であるSteinberg『Cubase 7』とMOTU『Digital Performer 8』がリリースされました。
このサイトでも「どれが良いのか?」と、もう何度も頂いた質問ですが、インターフェイスにしてもそうですが、ソフトとの相性です。
SONAR X2 直輸入盤の日本語化
円安での価格上昇が考えられたので、個人的に『SONAR X2 PRODUCER』の直輸入盤を2012年12月に購入しました。購入価格は2万1,000円です。
インストーラーに日本語はありませんでしたが、Windows 8に対応するアップデータ『SONAR X2a』で無事に日本語化することもできました。
基本的にはMacユーザーなので、なかなか時間が取れずに、まだ使い込んではいませんが、一緒に購入した『SONAR X2 完全攻略ガイド』を片手に、サードパーティー製のプラグインを一切使わずにカバーですが1曲作ってみました。
SONAR X2の使い勝手は良い
『SONAR』を使うのが初めてというわけではないこともあり、かなり使い勝手は良かったです。「Pro Channel」やソフトシンセ「Rapture」は、なかなかのものです。
わたしの場合は作業効率の関係上、現段階だと、どうしてもWindowsに対応したMOTU『Digital Performer 8』をPCにインストールするのが必須になりますが、もっと本格的に使い込んでみたい気持ちになりました。