トラック制作に掛かる時間が大幅に短縮化されただけでなく、初心者の方にも手軽に音楽を楽しむことができるループシーケンス機能を持つDAWソフトは大変に便利であると同時に、本当の意味での「音楽制作の壁」をなくしました。
ACIDがこの分野のパイオニアですが、現在では、CUBASE、Studio One、Degital Perfomerなどをはじめとする、ほとんどの主要DAWソフトがループブラウザーを搭載しています。
2016年以来更新していませんでしたが、ループシーケンス作曲ソフトのパイオニア的存在の「ACID」の復活&復権もありましたので、2019年に3年ぶりにページを更新しました。
ループシーケンス機能搭載DAWのメリット
自動的にテンポやキーを合わせてくれる
ループシーケンス機能を持つソフトは、あらかじめキーやテンポが設定されている「Apple Loops」「Acidファイル」に代表される、短い各パートのフレーズなどのオーディオデータをループ・ブラウザから選び貼り付けます。
その貼り付けループ素材の長さや曲の調を変えたりしながら、1曲を簡単に完成させて行くことができます。
主にドラッグ & ドロップとコピー & ペースを駆使してフレーズを並べて行けば、音楽の知識がなくても手軽に音楽を作ることができてしまいます。
限界はありますが、曲のテンポやキーを変えても、自動的にテンポやキーを合わせてくれるのも、ループシーケンス機能搭載のDAWソフトの特徴です。
作業時間を短縮
ループシーケンス機能を使うメリットは初心者の人だけではなく、中級者以上や仕事でサウンドクリエーターをしている人にも、作業時間を短縮することができるというメリットがあります。
昔はループシーケンス機能と同じように、フレーズをトラック上に並べて行くときには、サンプリングCDなどから、好きなループをソフトへインポートして、テンポなどを自分で合わせなければいけませんでした。
しかし、ループシーケンス機能のおかげで、ループブラウザからループやフレーズを選び、そのフレーズをトラック上に並べ、自らの手で細かい調整をすれば「使えるトラック」が短時間で完成します。
もちろんループ集を並べただけで曲を完成させるということはありませんが、トラック制作に掛かる時間が大幅に短かくなるというのは、かなり大きなメリットだと思います。
作曲やプリプロ時にも役立つ
フレーズを並べて行くだけでよいので、作曲やプリプロのときなどにも、ループシーケンス機能搭載のDAWソフトは非常に役に立ちます。
現在パッケージ版は生産完了しましたが、STEINBERG(スタインバーグ)のループシーケンスソフト「SEQUEL(シーケル)」はエントリーユーザーに最適な低価格なオーディオループ素材をドラック & ドロップするだけのシンプル操作のソフトです。
同社のDAWソフト「Cubase シリーズ」のユーザーのなかには「SEQUEL」には膨大な数のループ素材や、600種類以上のプリセット音色を満載したソフトシンセと16種類のエフェクターが収録されているので、サウンドライブラリとして考えて導入した人もいました。
2011年「SEQUEL 3」を最後にアップデートしていませんので、現在購入することはオススメしません。(SEQUELは生産完了となりました。)
ループシーケンス機能搭載DAWで手軽に音楽制作
音楽制作を手軽に始めることができる
初心者の方が音楽制作を始めるにあたり、DAWソフトを開いてゼロの状態から音楽を作るのは難しいですが、ループシーケンス機能を持つソフトなら、作曲や編曲の知識がなくても、ループブラウザからフレーズを選び並べて行くだけで音楽を作ることができます。
上記の画像は2023年時点の「Studio One」の最上位最新バージョン6.5の画像ですが、右の画面でフレーズを選んで、左の画面にドラッグして並べてゆく感じです。
確かにループだけを並べて作った作品が「作曲かどうか?」ということや「オリジナル曲なのか?」という観点からは疑問が残るのは確かです。
それでも、とりあえず音楽を作りたいと思っていた初心者の人には一般の統合型のDTM・DAWソフトに比べて、操作が簡単で価格が安い初心者向けのソフトもあるので、ループシーケンス機能搭載のDAWソフトは最適です。
音楽の知識を学ぶことができる
ループシーケンス機能搭載のDAWソフトを使っていれば、手軽に音楽制作をすることができるだけでなく、曲の楽器構成なども覚えることもできるので、編曲(アレンジ)の勉強をすることができると思います。
今はまったく使用していないのでどうなっているかわかりませんが、Macに付属する「GarageBand」の2009年バージョンの「GarageBand ’09」では「基本レッスン」と「アーティストレッスン」の機能が追加され、ピアノやギターの弾き方を習うことができるようになり、音楽の知識を学んだりすることもできるようになりました。
お手軽で現在人気のある音楽制作ソフト
IMAGE-LINE(イメージライン)の「FL STUDIO」は音楽の知識がなくても、「1〜4小節の長さから成るパターン」と、「ステップシーケンサー」を軸にした音楽制作をソフト内部だけですることができます。
エントリーユーザー向けのループシーケンスソフトも「Singer Song Writer Loops」「ACID」「SEQUEL」をはじめ、たくさんの種類があるので「どのソフトが良いのか?」と迷う人もいると思います。
個人的に遊び感覚で音楽をしたい人にオススメなのは、キャンペーン時は7,000円以内で購入することができるMAGIX「Music Maker Premium」です。
このサイトでも8,000種類以上のループ音源を搭載する「Music Maker」は非常に人気あり、ニューバージョンが出たときは注目度は非常に高いです
音楽の知識がなくても作曲することができる、AIでオリジナル曲を自動作曲する機能が、2013年時点での最新バージョン「MUSIC MAKER 2024 PREMIUM」では搭載されています。
ACIDの復活&復権
ループシーケンスソフトのパイオニア的な存在は「ACID(アシッド)」ですが、他のDAWソフトがループ・ブラウザを搭載して、貼り付けた素材を勝手にテンポを合わせてくれるようになってからは存在感はなくなっていました。
しばらくは「終わったDAW」というイメージでしたが、今さら感の「ACID Pro」と「ACID Music Studio」が売れている で書いたように、ソースネクストが販売するようになってからは価格破壊というよりも投げ売りみたいな価格で販売されたこともあり人気が再熱しました。
そのせいもあってか、2018年に約9年ぶりに「ACID Pro 8」へとアップデートされ、2013年の最新バージョンは「ACID Pro 11」「ACID Music Studio 11」となっています。