WAVES L3 シリーズ – 音圧競争を終わらせたマスタリング・プラグイン

WAVES L3 Multimaximizer

現在は過去の産物のイメージのあるマキシマイザーですが「WAVES L3」は音圧競争を終わらせたマスタリング・プラグインです。

高性能なマキシマイザーが多数ある今の時代に、あえて「WAVES L3」を選択する必要はありませんが、サブスク配信レベルならファイナルリミッターとしても、まだ現役で使用できます。

L3 Multimaximizerの特徴

音圧競争を終わらせた WAVES L3

CD時代が終わりサブスク時代になり、音楽の聴き方が変わった今ではあまり取り上げられることはありませんが、かつて加熱していた「音圧競争」「音圧至上主義」という言葉を知っている方もいると思います。

音を歪めずにギリギリまで音圧を稼ぐ0.1dB単位での調整が必要なだけでなく、ミックスダウンで作り上げた2ミックスの立体感との妥協点を探しながら作業しなければならない「音圧競争」は、けしてクリエイティブとは言えない作業で、わたし自身も凄いストレスを感じました。

大袈裟な書き方かもしれませんが、そんな状況の音圧競争の終焉に光を見せたのがクリアな音のままオーディオレベルを上げることのできるWAVES L2 Ultramaximizerや、Sonnox Inflatorです。

そして、わたしのなかでは定番マスタリングツールとして定着したマキシマイザー「L3 Multimaximizer/L3 Ultramaximizer」が完全に音圧競争を終わらせたという認識です。

ファイナル・マスタリングプラグイン

2ミックスの立体感を保ちながらクリッピングを回避して最終的なオーディオレベルの最適化することができるのが「L3 Multimaximizer/L3 Ultramaximizer」の大きな特徴で、一番最後にインサートするファイナル・マスタリングツールとして最適なプラグインです。

マルチバンド・マキシマイザー「L3 Multimaximizer」は分割した5バンドのリミッティングだけでなく12dBのブースト&カットが可能なのでEQ的な使用法もできます。

そのため音圧やオーディオレベルを調整するだけでなく、サウンドの質感を「L3 Multimaximizer」で調整することもできます。

一方「L3 Multimaximizer」がマルチバンド・マキシマイザーに対して、シングルバンド・マキシマイザーの「L3 Ultramaximizer」は「WAVES L1/L2」と同様に、主にReleaseを設定して、Threshold スライダーを下げるだけのシンプルな操作で、音圧やオーディオレベルの調整をすることができます。

WAVES L3シリーズ

L3-LL Multimaximizer

WAVES L3LL Multimaximizer
CPU負荷の軽さが特徴の「L3-LL Multimaximizer」は「L3 Multimaximizer」のローレイテンシーモデルです。

ファイナル・プラグインとしてだけでなく、CPUへの負担が少ないので、各トラックに掛けるのにも「L3-LL」は適しています。

L3-16 Multimaximizer

WAVES L3-16 Multimaximizer
WAVES Lシリーズの最上位モデルと言ってもよい「L3-16 Multimaximizer」は、それぞれのバンドに独自の設定をすることのできる、EQ感覚で使うことのできる16バンドのマキシマイザーです。

当然、5バンドの「L3」よりも16バンドの「L3-16」ほうが、より細かくサウンドの最終調整ができます。

WAVES L3の評価(2023年10月追記)

必須プラグインではない

<2023年10月追記>
国内代理店がしっかりとした紹介ページを作っているので、あたかも「WAVES L3 シリーズ」は第一線のマキシマイザーと錯覚してしまいそうですが、YAMAHAの歌声合成ソフト「VOCALOID(ボーカロイド)」に似ていて、過去のネームバリューや栄光で商売をしている感じです。

一番初めに「過去の産物のイメージ」と書きましたが、音楽制作の現場で活動している人間からすれば、今はWAVES L3 シリーズ必須プラグインではないです。

VOCALOIDも「VOCALOID6とVX-βでみるヤマハのAI歌声合成の現在のレベル」を読ませてもらいましたが、書かれている評価が正しくて、完全に歌声合成技術の分野で周回遅れ以上の差を「Synthesizer V」につけられてしまっています。

2008年時点ではトップメーカーだった

このサイトを始めた2008年時点では、WAVESはプラグインの世界でトップメーカーだったことは間違いなく、製品レベルでの音楽制作では必須で、充分すぎる効果を実感することができました。

しかし、15年経過した2023年では、マキシマイザー「WAVES L3」だけでなく、定番だったバスコンプにしても、なくても音楽制作に支障をきたすことはありません。

WAVES L3 収録製品

L3-16に5種類のL3シリーズが収録

WAVES L3-16には、L3-16、L3(2種類)とL3-LL(2種類)の合計5種類の、すべての「L3シリーズが収録されています。

L3-16にすべて収録されているので、2015年には、L3 Multimaximizerの単体パッケージの販売は国内では、あまり見かけなくなっていました。

2014年~2015年時は2万円前後で販売されていましたが、2023年10月に久々に価格を調べたところ、92%オフの$44.99で「L3-16」は販売されていました。

オンライン販売ですが、ライセンスには、 L3-16 だけでなく、L3 Multimaximizer、L3 Ultramaximizer、L3-LL Multimaximizer、L3-LL Ultramaximizer プラグインも含まれています。

L3収録バンドル

単品ではなくWAVESバンドル製品だと L3 シリーズは『Diamond Bundle』『Horizon Bundle』『Mercury Bundle』『Grand Masters Collection』などの製品に収録されています。

かつて高額だったWAVESの上位バンドルは、キャンペーン時は販売価格が、それ程は高額ではなくなっているだけではなく、まだ現役で使えるプラグインも多数収録されていますので『Diamond Bundle』か『Horizon Bundle』がオススメです。

WAVES L3の詳細スペック&価格情報

発売当時は10万円前後した「WAVES L3」は、7万前後になり、知らないうちに2万前後、そして1万円を切る価格になりました。

初期購入組の人間としては嘆きたい気持も少しありますが、充分に元は取らせてもらいました。

WAVES「L3 Multimaximizer/Ultramaximizer」の詳細スペックや、収録されているバンドル製品の最安値情報に興味のある方は「WAVES L3の詳細スペック&価格情報」でチェックして下さい。

WAVES L3シリーズの詳細スペック&価格情報

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