近年、パソコンのディスプレイやノートPCの横に設置するPCオーディオ用としてだけでなく、DTM用のモニターとしても手軽に使用することのできるデスクトップ用に設計された小型アクティブ・スピーカーは想像を越える音質を提供しています。
このページでは主にペアで約1万円台のオススメのスピーカーを紹介しています。紹介しているデスクトップ・スピーカーは FOSTEX PM0.3、Edifier ED-MR4、Alesis Elevate 3、Presonus Eris E3.5、MACKIE CR3、TASCAM VL-S3です。
低価格デスクトップ・スピーカーの解説
一般的なスタジオモニター・スピーカーとの比較
まず、しっかりと書いておきますが、手軽に導入することができる低価格のデスクトップ・スピーカーは、価格と性能が違うので、一般的な価格のスタジオモニター・スピーカーと比較すること自体が無意味です。
どれだけ高音質に聴こえても、プロの音を知る人間が聴けば、音楽制作のなかではプロクオリティーの音質ではなく、準プロクオリティーの音質です。
そうは言っても、使えないものというわけではなく、セカンド・モニタースピーカーとして考えれば、確実に作品クオリティーがアップすると同時に作業時間の短縮をすることができます。
FOSTEX PM0.3一択からの変化
このサイズでこの価格帯だとDTM用途まで考えると、今まではエントリーユーザーには何となく「FOSTEX PM0.3」の一択っぽい感じがしました。
しかし、Edifier「ED-MR4」がヒット製品になるなど、小音量再生時においてもバランスの良いモニターサウンドを得ることのできるデスクトップ・スピーカーが多数登場してきて、少し変わってきました。
おすすめ低価格デスクトップ・スピーカー
FOSTEX PM0.3
このサイズと価格帯でのデスクトップ・モニタースピーカーをセレクトする際に基準となるのがFOSTEXの「PM0.3」です。
エントリーユーザーを中心に、DTM用の小型モニタースピーカーのスタンダードとなった2008年に登場した「FOSTEX PM0.4」の影響もあって、発売当初から注目度と期待度が高かったモニターです。
リスニング環境を整えたいPCオーディオ用スピーカーを探している人に人気のある製品で、2017年07月に後継モデル「PM0.3H」が発表されグレードアップしました。
Edifier ED-MR4
最近かなり売れている2022年12月にリリースされた Edifier「ED-MR4」は、原音をそのまま再現するように作られている 1インチ径ツイーター + 4インチ径ウーファーのモニタースピーカーです。
音楽や映像制作で、準プロクオリティーを求めているユーザーをターゲットにした「ED-MR4」は、スピーカー測定で有名なKLIPPEL社とEdifierによるチューニングが施されている音のバランスがよい気合の入ったモニタースピーカーです。
本体サイズは、約140(幅)× 228(高さ)× 170(奥行)mmで、1セットの質量は約4.5kgです。
Alesis Elevate 3
このサイトで紹介しているデスクトップ・スピーカーなかでは一番、実売価格が安い「Elevate 3」は、Alesisのモニタースピーカーの技術が惜しみなく注ぎ込まれたコンパクトなデスクトップ・パワード・スピーカーです。
このサイズのスピーカーは、どうしても音量を上げていったときの低音が厳しいですが、普通の音量(一般的なリスナーの)ならクリアな音で鳴ってくれます。
2017年03月に外観に高級感の出た感じのする新モデル「Elevate 3 MKII」が登場しました。販売価格は前モデルと同じですので、コストパフォーマンスは最高です。
Presonus Eris E3.5
人気 & 定番DAWソフト「Studio One」でお馴染みのPresonusの「Eris E3.5」は、この価格帯で人気の多彩な入力端子を備える 2ウェイ・ニアフィールド・アクティブ・モニターです。高速で信頼性の高いBluetooth 5.0を搭載した「Eris 3.5BT」もあります。
音に高品質感があり、ステレオバランスはよいのですが、音楽制作でミックス以降の作業で使うとなると、低域に関しては、個人的にはモニター用のスピーカーと言うより、リスニング用途に向いているスピーカーかな?という感想です。
MACKIE CR3
イロイロなモニタースピーカーを見てきましたが、MACKIE(マッキー)の人気モニタースピーカー「CR3」の緑のラインのカラーは今までに見た記憶がありません。
きっとデザインの好みは別れるでしょうが、外観を見て「これだ!」と直感的に感じた人もいると思います。
重要なサウンドも3インチのコンパクトなボディーからは想像することができないほど「高音質」「高出力」で、実売価格13,000円前後とは思えないパワード・モニタースピーカーです。
わたしは「CR3」のエイジング後の音は聴いたことがありませんが、低音が強めの傾向のモニターです。
余計な低域をカットすることができるアイソレーションパッドが標準付属しているので、メーカーも狙ってのサウンドだと思います。
壁との距離など「CR3」を設置する場所によっても、もちろん変わってくると思いますが、エイジング後にパワフルな低音がどれだけ落ちついてくるのか?というのも気になるところです。
フロントにボリュームノブやステレオミニAUX端子がついているので、セカンドモニターとしても使い勝手が非常に良いと思います。背面にフォン端子とRCA端子が装備されています。
またスピーカーのポジションスイッチが「CR3」にはついているので、LとRを気にすることなく自由にスピーカーを配置することができるのもポイントです。
一度、設置したら、そう何度も動かすものではないので、不要かな?とも思いますが、ユーザーからの要望に答えたのではないでしょうか。
上記は「CR3」のときに書いた記事ですが、現在、後継モデルの「MACKIE CR3-X」が発売されています。
モデルチェンジした「CR3-X」のサイズは約140(幅)× 206(高さ)× 180(奥行)mmで、質量は3.5kgです。
TASCAM VL-S3
デスクトップでの音楽制作で、ヘッドホンとスピーカーを相互に活用するユーザーをターゲットにしたのが14W+14Wのパワーアンプを搭載した小型モニタースピーカー「TASCAM VL-S3」です。
大きい音量再生ができない環境でも、小音量での再生するときでもバランスの良いモニタリングをすることが「VL-S3」はできます。
本格的なモニターサウンドを手軽に得ることのできる「VL-S3」の本体サイズは約110(幅)× 170(高さ)× 138(奥行)mmです。
後発の「VL-S3BT」は原音に近い高音質でのBluetoothワイヤレス再生を行うことができるスピーカです。
Bluetoothワイヤレス再生に対応していますが、遅延が生じるので、スマホやiPodなどからの音楽のワイヤレス再生は良いとしても、音楽制作で使用を考えている人はチェックしておく必要があります。
生産完了したデスクトップ・スピーカー
Marantz Studio Scope 3
DTMツール、楽器、音響機器を展開する inMusic Japanの発売する Marantz Professional(マランツ・プロフェッショナル)のコンパクトなパワード・スタジオモニター「Studio Scope 3」は、1万円前後で販売されている非常にコンパクトなパワード・スタジオモニターです。
DTM用のモニタースピーカーやPC用の音楽再生スピーカーとしてはもちろんのこと、CD、DVD、ゲームサウンド、テレビの音声などに最適です。
10W+10W(計20W)の高品位アンプを搭載するプロフェッショナル・デスクトップ・スピーカーという位置づけの『Studio Scope 3』のサウンドの主な特徴は「タイトで正確な低音域」「クリアで自然な高音域」「深みのある豊かな重低音の再生」「正確な音像とディテールの再現」です。
DENON DN-304S
DENON Professional(デノン・プロフェッショナル)が2015年11月に発売を開始した「DN-304S」は「タイトで正確な低音域」「クリアで自然な高音域」が特徴のコンパクトなパワード・スピーカーです。
プロフェッショナル・スタジオ・スピーカーと同等の素材と、精密電子機器で製造され、高音から低音までフルレンジで再生する「DENON DN-304S」は、この価格とサイズを考えると想像以上の高音質高出力のデスクトップ・スピーカーです。
本体サイズは約146(幅)×213(高さ)×188(奥行)mmで、フロントパネルに配置された「ボリューム調整」「ステレオAUX入力端子」「ヘッドホン出力端子」もセカンド・モニタースピーカーとして大きな魅力の一つです。
PCオーディオ用としてはもちろんですが、省スペースで音楽制作をしている人にはDTM用のモニターとしてもプロフェッショナル・スタジオ・グレードの「DENON DN-304S」は重宝すると思います。
このデスクトップ・スピーカー「DN-304S」よりもサイズが大きく、価格も高いスピーカーでも首をかしげたくなるようなダメな製品も多々あります。
そんなことも踏まえると、1万5,000円前後で、この音質を実現した技術はたいしたものだと思います。