宅録スタジオに必要なMIDIキーボードを、これから音楽制作を始めようとしている人に向けて解説してゆきます。
MIDIキーボードは、コンピューターと接続して、DTMでソフトシンセを演奏したり、MIDIデータを入力するためのデバイスであり、初心者からプロまで欠かすことのできない必須ツールです。
MIDI対応の鍵盤キーボード
鍵盤キーボードをパソコンと接続
DAWソフトでのMIDIデータの打ち込みや、ソフトシンセやハードウェア音源の音を出したり演奏をする方法として、ふたつのやり方があります。
ひとつ目はDAWソフトに搭載している「パソコンの画面上の音楽用の鍵盤キーボード」を使用する方法で、もうひとつは、シンセサイザーをはじめとする「MIDI対応の鍵盤キーボード」をMIDIインターフェイスやUSBケーブルでパソコンと接続して使用する方法です。
作業効率を考えると鍵盤キーボードは必需品
キーボード・プレイヤーではない人などは「DAWソフトに音楽用の鍵盤キーボードが内蔵しているのなら鍵盤キーボードは必要ない」と思う人もいるかもしれません。
しかし、演奏だけでなくMIDIデータの打ち込みの作業効率を考えると、画面上のキーボードでは和音も弾くことができないのでかなり厳しいため、外部接続の鍵盤キーボードは作業効率を考えると必需品となります。
パソコンをシンセに変えるMIDIキーボード
スタンダードなUSB – MIDIキーボード
最近では、ほとんどDAWソフトがあらかじめソフトシンセ(ソフトウェア音源)を付属していることもあり、手軽にUSB接続でパソコンと直結することができる音源を本体に内蔵していないタイプのMIDIキーボードが人気がありオススメです。
USB – MIDIキーボードが人気のある理由は、ヤマハやローランドのシンセサイザーを代表とする音源内蔵のキーボードは高額ですが、音源の内蔵していないタイプのキーボードは低価格だからです。
音源を内蔵していないので、USB-MIDキーボード単体では音を出すことも演奏することもできませんが、ソフトシンセを使用することにより、パソコンをパワフルなシンセサイザーに変えることができ、音を出したりリアルタイムに演奏することができます。
KORGのBluetooth MIDIキーボード『microKEY Air シリーズ』は、Bluetooth経由で接続でき、USB ケーブルが不要ですが、有線キーボードと比較すると、同機能でも多少高額なため、現在でもUSB – MIDIキーボードがスタンダードとなっています。
キーボードの鍵盤数とサイズ
25鍵盤、37鍵盤、49鍵盤、61鍵盤、88鍵盤など、さまざまな鍵盤数のMIDIキーボードが発売されていて、持ち運びにも便利でスペースも取らない幅の狭いミニサイズ鍵盤と、一般的なピアノと同サイズのフルサイズ鍵盤があります。
キーボードプレイが上手くなりたい人や、演奏も楽しみたい人には、少ない鍵盤数や、ミニサイズ鍵盤だと限界があるので、フルサイズの49鍵盤以上のモデルがオススメです。
パソコンのスペックが要求される
注意点として、レイテンシーの問題もあり、USB – MIDIキーボードでのストレスのない演奏には「パソコンのスペック」が要求されるところです。
定番のソフトシンセに関しては「ソフトシンセ比較ナビ」で紹介していますが、インストールする際に大容量HDDが必要なものもありますので、MIDIキーボード以前の問題で事前のチェックが必要です。
尚、流行りのAI歌声合成ソフトに関しては、エディターにしても歌声ライブラリにしても、それほど重たくはないので、パソコンのスペックやHDD容量も、それほど気にする必要はありません。
ピッチベンド & モジュレーション・ホイール
後々になって後悔しないように最低限でも「ピッチベンド・ホイール」と「モジュレーション・ホイール」を搭載しているキーボードを選びましょう。
その理由は最近のソフトシンセは進化していて、ベロシティーの強弱だけで多彩な演奏を再現してくれる音源もありますが、やはりピアノ系以外の音色に表情を付ける際には「ピッチベンド・ホイール」と「モジュレーション・ホイール」は必要だからです。
安い製品だとホイールを搭載していないものもありますので、必ず購入する前にチェックしておきましょう。
DAWソフト & ソフトシンセ付属のMIDIキーボード
操作の相性を試すことができる
USB – MIDIキーボードを導入後に、すぐに音楽制作を開始することができるDAWソフトやソフトシンセをバンドルしている製品は、はじめてDAWベースでの宅録スタジオを構築しようとしている人にオススメです。
バンドルされているのはライト版や機能限定版エディションのソフトではありますが、上位版のDAWソフトを購入する前に、操作の相性を試すことができたり、DAWソフトを使用した音楽制作を学ぶことができるという大きなメリットもあります。
KORGキーボードのバンドルソフトを見てもらえると納得できると思いますが、最近はかなり豪華にDAWソフトやソフトシンセがUSB – MIDIキーボードに付属しています。
オーディオインターフェイスに付属ソフトとのバランス
多くの2万円前後「エントリーユーザー向けのオーディオインターフェイス」にも「Cubase」「Studio One」「Live」などの、定番DAWソフトのライト版がバンドルしています。
そのため、MIDIキーボードに付属しているソフトを視野に入れた場合は、オーディオインターフェイスに付属しているソフトとのバランスを考えて購入するのが賢い選択です。
また、生のボーカルやギターのオーディオ・レコーディングをすることができる「オーディオインターフェイス搭載のMIDIキーボード」もあります。
自分に合ったMIDIキーボード選び
どの鍵盤キーボードがよいの?
MIDIキーボードは種類も多く、価格帯は広範ですので「どの鍵盤キーボードがよいの?」という悩む人もいると思いますが、鍵盤数やタッチ感度であったり、音楽制作のスタイルなどによっても異なります。
そのため「どの鍵盤キーボードがよい」というのは、一括りにして言うことはできませんが、49鍵以上のモデルのほうが、圧倒的に作業効率がよいです。
KORGとM-AudioのMIDIキーボードが人気のあるベストセラー製品ですが、このサイトはミニサイズ鍵盤よりも、フルサイズ鍵盤をオススメしていることもあり、M-Audioのほうが人気があります。
MIDIキーボード/DAWコントローラがオススメ
個人的には、宅録スタジオでデスクトップPCでの音楽制作を考えている人には「MIDIキーボード/DAWコントローラ」をオススメします。
DAWソフトのミキサーであったり、ソフトシンセのパラメーターをコントロールすることのできるコントロール・サーフェス(フィジカル・コントローラ)の機能をMIDIキーボード/DAWコントローラは搭載しているので、便利なだけでなく、結果として後々の費用を抑えることとなります。
すべての製品ではありませんが、それぞれの鍵盤MIDIキーボードのページで可能な限り記載しています。