DAWスタイル15周年記念に、現時点での最新バージョンとなる「Studio One6.5」を使用した各配信プラットフォームのラウドネス・ノーマライゼーションを意識したマスタリング・ガイドを公開します。
配信審査のある Apple Music、YouTube Music、Spotify、Amazon Musicなどへ楽曲配信をしたいと考えている一歩上の段階に進みたい人に向けた「マスタリングある意味では究極ガイド」と題したマスタリング・ガイドとなります。
第1回目は「マスタリング作業のモニター環境」と「メーター系プラグイン」について書いてゆきます。
今までのミックスとマスタリングのガイドとは違い、機材のハードルをできるだけ上げないように、ヘッドホンとスピーカーは低価格な製品を使用します。
マスタリング作業のモニター環境
モニター用のヘッドホン & スピーカー
ミックスもそうですが、マスタリングにもスタジオモニター・ヘッドホンや、スタジオモニター・スピーカーが必須です。
また、再生環境を選ぶことなくマスターファイルを仕上げる必要がありますので、リスニング用のヘッドホンやスピーカーだけでなく、イヤホンであったり、最近では、iPadなどのタブレットデバイスでも確認する必要があります。
使用するヘッドホン
以前のマスタリングのガイドでは、ADAM Audioのスタジオモニター・スピーカー「A7X」をメインモニターに使用しましたが、「ADAM Audio A7X」だと、ハードルが上がってしまった印象がありました。
そこで今回は手頃な価格で手に入れることのできるヘッドホンをメインにマスタリングを行います。
使用するのは、定番スタジオ・ヘッドホンでは最も安いAKG「K240 Studio」と、1万円 ~ 1万5,000円で購入することのできる Sennheiser「HD 280 Pro」となります。
AKG「K240 Studio」と、Sennheiser「HD 280 Pro」は「スタジオモニター・ヘッドホン導入ナビ」で紹介していますので、ヘッドホンの特徴やセレクトポイントなどは、そちらのほうを参照して下さい。
確認用にApple EarPods
また、世界で一番使用者が多いと言われている AppleのiPhoneに付属するイヤホン「EarPods」も確認用として使用します。
iPhoneユーザーではなくても2,000円ちょっとで購入するこができますが、偽物も出回っていますので、必ず純正の「EarPods」を手に入れましょう。
2,000円ちょっとで購入できる「Apple EarPods」ですが、リスナーのスタンダードなイヤホンという認識で間違いないです。
使用者も多いので、実際にプロの現場でも「EarPodsでどの用に聴こえるか?」というのをマスタリング時に確認するサウンドエンジニアもいます。
それだけでなく、配信用のマスターファイルは「Apple EarPods」に最適化する傾向も見られます。
各配信プラットフォームでは、圧縮されて音楽が配信されますが、圧縮時のサウンドの特徴や違いもあって、意外と難問となっているのが「Apple EarPods」でもあります。
配信リリースなどを考えている人で「Apple EarPods」を持っていない人は、入手しておいたほうがよいイヤホンです。
オススメの確認用イヤホン「Etymotic ER4SR」
個人の事情ですが、耳にねじこむカナル型イヤホンは、いくつも試しましたが、耳に合わないので、30分くらいが限界で耳が痛くなります。
そのため最終確認の用途以外では耳栓イヤホンは使用していませんが、Etymotic(エティモティック)の「ER4SR」は、スタジオリファレンス・イヤホンというだけのことはあり、フラットでバランスの非常によいサウンドです。
Apple「EarPods」をフラット状態で考えたときの「ER4SR」とのサウンドの違いを比較すると上記画像の用な感じです。
EarPods の特徴でもある 6 ~ 7kHz辺りに注目すると、「ER4SR」がどんな感じのサウンドかがイメージできるかな?と思います。
使用する小型スピーカー
今回はヘッドホンメインにマスタリングを行いますが「配信リリース = 商品」となりますので、安全策を取るために、一応スタジオモニター・スピーカーも確認程度に使用します。
使用するのは「低価格デスクトップ・スピーカーの比較」で紹介している、スタジオモニターでは、最も安いと思われる小型の Alesis「Elevate 3」です。
モニタースピーカーというよりも、リスニング用スピーカーという位置づけでの使用となりますが再設置してみました。
メーター系プラグインを活用する
メーター系プラグインは進化している
WAVESのメータプラグイン使用した「視覚で捉えるマスタリング」というコンテンツを、かなり昔に公開したことがありますが、現在はメーター系プラグインも、かなり進化しています。
今まではヘッドホンをメインにしたミックス & マスタリング作業は、あまりオススメしませんでしたが、メーター系の素晴らしいプラグインが多数ありますので、配信レベルなら充分にヘッドホンをメインにしたマスタリングでも対応することができます。
Listen Busにインサートする
Studio Oneには、マスタートラックがエフェクターの影響を受けない独立した試聴用のバス「Listen Bus(リッスン・バス)」という素晴らしい機能があります。
そのため「Studio One」のListen Busに使用するメーター系プラグインを、すべてインサートします。
使用するメーター系プラグイン
IK Multimedia「Metering」、iZotope「Tonal Balance Control 2」、sonible「true:balance」を使用しますので、Listen Busにインサートしました。
初代から IK Multimediaの「Metering」は使用していて、理由は考えずに、立ち上げるのが当たり前になっています。
iZotope「Tonal Balance Control 2」と、sonible「true:balance」は、実際のマスタリング作業のなかで解説してゆく予定でいます。
リファレンス・ツール MeldaProduction「MCompare」
MeldaProduction「MCompare」もインサートしていますが、今回は使用する予定はありません。
「MCompare」はミックスとマスタリングのためのリファレンス・ツールで、色々できるみたいですが、メーカーの解説も、翻訳機を使っただけの代理店の解説もわかりにくいです。
Plugin Boutique系のセール情報のついでに、Google翻訳を使ったコピペしただけの日本語の文章を掲載している低品質なサイトは論外です。
わたしの「MCompare」の使い方は、リファレンス曲を数曲登録して、作業中の曲と聴き比べに使っているだけの感じです。
次回の第2回目「マスタリングある意味では究極ガイド」は「ステム・マスタリングをイメージしたマスタリング」を公開する予定です。
準備編は次回の第2回目で終了して、第3回目からはマスタリングの実践編に入ってゆきます。
公開日は未定ですが、公開後は、X(ツイッター)に記載する予定です。マメでないこともあり、あまりSNSには向いていないのを理解していますので、ほとんど使っていませんが、よろしければフォローしてください。
3回目以降はフォローワー以外は見れなくしてしまうかもしれません。