ボーカルの自然なピッチ補正と、過度のピッチ矯正により作り出せる「ケロケロボイス」を簡単に作ることができる、2009年に登場した低価格なボーカル用のプラグイン『Auto-Tune EFX』は、業界標準のANTARES(アンタレス)の『Auto-Tune』のライトバージョンにあたり、上位版のコアテクノロジーを受け継いでいます。
現在の最新バージョンは『Auto-Tune EFX 3』ですが、以下の記事はバージョン1のときに作成した記事です。
Auto-Tune EFXの特徴
2種類のピッチ補正モード
特徴的な「ケロケロボイス」を簡単に作成することができる「Auto-Tuneボーカルエフェクト」と、音程の悪いボーカルを自然なかたちで補正することが可能な「リアルタイムピッチ修正」の2種類のピッチ補正モードを『Auto-Tune EFX』では使うことができます。
使い方はボーカルの声域を設定してから、キーやスケールを指定して、「Hard EFX」「Soft EFX」「Pitch Correct」からエフェクト・タイプを設定するだけと非常に簡単です。また、2種類のピッチ補正モードにはプリセットが搭載されています。
ボーカルラインを合わせる
これは、キーやスケールを指定するタイプの低価格な簡易ボーカル・ピッチ補正ソフト全体に言えることですが、『Auto-Tune EFX』も特にレコーディングされたボーカリストの音程が悪い場合は、楽曲によってはピッチ補正時にボーカルのキーが合わない場合があります。
そのような場合は、カスタムスケールの設定やホストDAWアプリケーションのオートメーション機能を併用することで、オケにボーカルラインを合わせることができます。
Auto-Tune EFXの評価と詳細スペック
Auto-Tune Evoとの違い
上位版にあたる『Auto-Tune』との違いはグラフィカルなピッチ編集や、ピッチ補正の微調整ができないことや、フォルマントピッチシフト喉の物理モデリング技術を使用したピッチ補正ができないところです。
個人的な評価
低価格なので仕方のないことだとは思いますが、仕事などの作業効率とクオリティーが求められるレベルでのボーカルのピッチ補正の作業において、グラフィカルなピッチ編集や、微調整ができない『Auto-Tune EFX』は、ピッチ補正という観点だけでみると厳しいと思います。
また、低価格ではありますが、最近は『SONAR』の「Roland V-Vocal」や、『Cubase 5』から標準で搭載されたボーカル編集「VariAudio」とピッチ修正ツール「Pitch Correct」など、DAWソフトにもしっかりしたピッチ補正ソフトが標準で付属しています。
そんなことからも『Auto-Tune EFX』が「コストパフォーマンスに優れているか?」と聞かれたなら、正直なところ「優れている」と即座に個人的には答えることはできません。
しかし、メーカーも「ケロケロボイス」を強調していますので「ケロケロボイス」を作成したい方や、簡単な「ピッチ補正」をしたい方に、販売価格が1万円を切る『Auto-Tune EFX』は良いのではないかと思います。
実際のボーカリストの歌声を収録したボーカル音源『VOCALOID(ボーカロイド)』と、この『Auto-Tune EFX』を組み合わせて使っても面白いのではないでしょうか。
詳細スペック
ANTARES(アンタレス)のボーカルのピッチ補正プラグイン『Auto-Tune』のライト版『Auto-Tune EFX』の詳細のスペックや価格情報などに興味のある方は、右下のリンクの「Auto-Tune Evoの詳細スペックと価格情報」で詳細を確認して下さい。