基本的なドラムの定番ソフトシンセはToontrack「SUPERIOR DRUMMER 3」、XLN Audio「Addictive Drums 2」、FXPansion「BFD3」の3大ドラム音源です。
3大ドラム音源に関しては別売りの専用ライブラリも用意されているので、どれを選んだとしても仕事レベルでも対応することができます。
ただし、音楽制作ツールの世界は一度定番になると入れ替わらないのが特徴ですので、あくまでも上記が定番であるだけで、他のドラム音源が使えないわけではありません。
UJAM「Virtual Drummer」とSteinberg「Groove Agent」も使い勝手の良い優れた音源ですし、EastWest「ProDrummer」なども、時短 & 即戦力で使えるドラム音源です。
ドラム専用の定番オススメDTM音源
SUPERIOR DRUMMER 3
2017年09月にTOONTRACKのドラム音源「SUPERIOR DRUMMER 2.0」(2008年リリース)の後継にあたる「SUPERIOR DRUMMER 3」がリリースされました。
多くの新機能が搭載されていますが、目を引くのは完全に1 から収録されたサウンドライブラリの容量が235GBとなったことです。
前バージョン2.0の容量が19GBですので、まったく別次元の容量の大きく進化したドラム音源となっています。
「SUPERIOR DRUMMER 3」のエンジニアはグラミー賞を獲得したこともある世界的なプロデューサー/エンジニアのGeorge Massenburg(ジョージ・マッセンバーグ)が担当しています。
この分野のパイオニア的な「dfh Superior」からの歴史のあるドラム音源ですが、音質や操作性はしっかりとしています。
もちろん拡張音源シリーズ「EZX(イージーエックス)」を「Superior Drummer 3」本体にロードして使用することもできます。
Toontrack「SUPERIOR DRUMMER 3.0」の詳細
Addictive Drums 2
音楽制作ツールの世界では一度定番になると入れ替わらないのが特徴ですが「SUPERIOR DRUMMER」と「BFD」のなかに定番ドラム音源としてXLN Audio「Addictive Drums」は入って来たのは、もうだいぶ前の話になります。
動作が軽くて高音質というだけでなく、プリセットやリズム・パターンも豊富に収録されていることが大きな魅力であると「Addictive Drums 2 – XLN Audioの人気・定番ドラム音源」で書きましたが、本当にストレスなくリアルなドラムトラックを作成できます。
必要ハードディスク容量が3GBなので他のドラム音源に比べて不安に感じる方がいるかもしれませんが、音質等を考えても充分に使えるドラム音源で、個人的に仕事でも「Addictive Drums 2」を利用したりもしています。
2014年に登場した「Addictive Drums 2」のラインナップは「Artist」「Producer」「XXL Studio」でしたが、2017年時点で調べたところ「Addictive Drums 2 Custom」「Addictive Drums 2 Custom XL」「Addictive Drums 2 Creative Collection」などのラインナップに変わっています。
2013年に登場したCakewalkのDAWソフト「SONAR X3 PRODUCER」に「Addictive Drums」のダウンロード版と同じものが標準で搭載されたことで少し話題になりましたが、バージョンアップした「SONAR PLATINUM」に付属していたのは「Addictive Drums 2 Producer」です。
しかし「Addictive Drums 2 Custom」と同様に好きな「ADpak」「MIDIpak」「Kitpiece Pak」を3つずつ選ぶことができます。
XLN Audio「Addictive Drums 2」の詳細
BFD3
仕事でも使用している人も多いと思いますが、完全に音楽制作に特化したデスクトップPCを所有していて、ハードディスクに余裕のある人は2013年にバージョンアップしたFXPansion「BFD3」がオススメです。
55GB以上のディスク容量が必要ですが、さまざまなスタイルのグルーブも収録されているので、ドラムサウンド&トラックに関しては「BFD3」を導入すれば、ほとんど考える必要がなくなると言っても良いほどのクオリティーの高いリズムトラックを完成させることができます。
尚、FXPansion「BFD3」はElectronic Musician「Editors’Choice Awards 2014」を受賞しています。
長い間、メジャーアップデートはしていませんので、一世代前のドラム音源の感じはしますが「BFD3」のサウンドは問題なしです。キャンペーン期間は1万円を切る格安価格で販売されるようになっています。
EZ drummer 3
初心者向から中級者に人気のドラム音源だと、価格的に導入しやすいこともありToontrack「EZ drummer」が、何年ものあいだ定番ソフトになっています。
2014年に「EZ drummer 2」が登場し、2022年05月にGUIが一新されたニューバージョン「EZ drummer 3」がリリースされました。
このドラム音源の魅力は何と言ってもスピーディーなドラム・トラックの制作で、充実した専用拡張音源「EZX」も用意されていますので「はじめてのドラム音源」としては最適です。
その他のドラム専用のオススメDTM音源
ProDrummer
Vol 1とVol 2 がセットでも販売されているEastWest「ProDrummer」には、異なるルームで録音された大容量のドラムサウンドと、トータルで1万4千を超すMIDIドラム・グルーヴが収録されています。
ProDrummer Vol 1 は、約60GBのドラムキットとMIDIドラムグルーヴが入っていて、マドンナ、シール、マッシブアタック、プライマルスクリーム他、多数の著名アーティストのドラマーを手掛けたことのある スティーブ・シデルニクがドラム演奏を担当しています。
ProDrummer Volume 2 は、約40GBのドラムキットとMIDIドラムグルーヴが入っていて、ピーター・ガブリエル、ブルース・スプリングスティーン、パールジャム他、多数の著名アーティストのドラマーを手掛けたことのある マット・チェンバレンがドラム演奏を担当しています。
PCへの要求スペックが高いドラム音源ですが、セール中のバンドル製品「ProDrummer Vol 1 & Vol 2 」は金額的に、かなりお得です。
EastWest「ProDrummer Vol 1 & Vol 2 」の詳細
MODO DRUM
2019年08月にIK Multimediaがリリースした「MODO DRUM」は、世界で初めてフィジカル・モデリングを採用したドラム音源です。
「MODO DRUMが定番のドラム音源になる可能性」でも書いていますが、世界初のフィジカル・モデリング音源というのが売りのソフトシンセではありますが、ハイハットやシンバルの金物系はサンプルベースです。
そのため、正確にはフィジカル・モデリングとサンプルベースの組み合わせによるソフトウェア・ドラム音源です。
様々なジャンルに対応する10種類のドラム・キットを収録する「MODO DRUM」はドラムの素材、サイズ、プレイ・スタイル、部屋鳴りなどを細かくエディットすることができ、1,400種類以上のMIDIパターンも収録します。
Virtual Drummer 2
UJAM「Virtual Drummer シリーズ」は、演奏スタイルとIntro、Verse、Chorus、Endingなどの演奏パターンを選択して、スピーディーに使えるドラムトラックを生成することができるドラム音源です。
ポップス向け「SOLID」ロック系「HEAVY」、ファンキーでアーバンな「PHAT」などの「Virtual Drummer」がリリースれていますが、レコーディングには高品位なマイクとアウトボードが使用されているだけでなく、プロ・ドラマー達のパフォーマンスを細部に渡り丁重に録音されています。
「Virtual Drummer シリーズ – UJAMのドラム音源」でも書きましたが、スタイル/演奏パターンがセールスポイントのドラム音源ですが「Virtual Drummer」でワンショットのドラムの打ち込みも行えます。
2019年07月に「Virtual Drummer 2」がリリースされ「MIDIフレーズのドラッグ&ドロップ」「マルチアウト対応」「新しいスタイル、プリセット/フレーズの追加」「強化されたミキサーセクション」など機能強化されました。
Groove Agent 5
どうしてもCubaseユーザー向きの音源のイメージが先行するSteinberg「Groove Agent」ですが、プリセット数やスタイル数も、たくさん収録されているため、短時間でのドラムトラック&パーカッショントラックの作成が可能です。
Cubaseにバンドルする「Groove Agent SE 」はプリセット数やスタイル数がかなり少ないですが、フルバージョンはプリセット数やスタイル数も豊富ですので満足がゆくと思います。
またアコースティック&エレクトリック・ドラムだけでなく「Groove Agent」には、パーカッション専用のモジュール「Percussion Agent」もあります。
個人的に本格的に「Groove Agent 4」を使用し始めたときに感じたのですが、リズムパターンをMIDIトラックにドラッグして使用するこもできるので、かなり使えるドラム音源です。
2018年にリリースされた「Groove Agent 5」では、アコースティック・ドラム音源「THE KIT」と、30種類の新エレクトロミュージック用ドラム音源を新たに付属しています。
また「Groove Agent 5」用のライブラリである、ハードロック・ドラム「Rock Essentials」とヒップホップ・サウンド「Prime Cuts」も付属します。
尚、2019年01月にアップデートしたSteinbergのソフトシンセのバンドルパッケージ「Absolute 4」にも「Groove Agent 5」は収録されています。